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zoom RSS 若森みどり「カール・ポランニーの経済学入門」新自由主義の誤謬が解る

<<   作成日時 : 2016/02/13 09:17   >>

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カール・ポランニーの著作を紐解きながら、「経済的自由主義」のちに新自由主義と名乗る思潮に対する批判を歴史的に解説する入門書。 入門書とはいえ、経済学や金儲けには滅法弱い私には、かなりむずかしかったが、上っ面だけ要約すれば・・・

新自由主義は産業革命後の英国の救貧法に対する批判の頃から芽生えていて、貨幣、土地、労働をも商品と化して、政治による社会福祉政策などの介入を嫌う。自由といいながら、市場が機能しないときには国家による介入を積極的に歓迎するダブル・スタンダードだ。

新自由主義は民主主義より市場経済を選択するのでファシズムを防げなかった。戦後、その反省に立ってハイエクらは新たな道を模索したが、結局米国の市場原理主義者ばかりが残って、リーマンショックに結びついた。

ボランニーは、民主主義の下に経済を位置付ける社会民主主義的なやり方を主張している。

本とは関係ないが、フリードマン、竹中平蔵など、経済学者には首をかしげざるをえないような人びとが多い。 アマルティア・セン、ジョン・スティグリッツ、ジェフリーサックス、そして、この、カールポランニーなど、人間性を信じられる素敵な経済学者も少なくないのに、なぜ新自由主義が常に息を吹き返すのか、不思議でならない。

その理由を、私は、その一見正論っぽい単純な主張にあるとみている。 単純だから強いメッセージになる。 日本でも、「民間でできるものは民間で」、「頑張った人には報いるべき」、「多様な労働の形態が提供されるべき」・・・これらの一見もっともなメッセージに反論するのは、いろいろな視野と分野の話をして、総合的な議論をしなくてはいけない。 その時点で、もう説得が難しいのだ。 長い話は人は聴きたくないから。 しかし、ボランニーの言うように、こられの単純なメッセージには、どこかにダブル・スタンダードが、必ず、あるのだ。



少し、トピックを、くわしく、ふりかえると、・・・・・ 


古くは、「オウエンだけは、救貧受給に群がる貧民や飲酒・賭博・犯罪に手を染めるスピーナムランド時代の荒廃した人びとの性格のなかに、産業化と市場化が急速に進行する社会が抱える受難と害悪を見いだした」という、かなり昔の話もある。



「ダブル・スタンダード」への言及は、以下のようなものだ。  たしかにそうだ。 砕けて言えば、いいことは自分の生、悪いことはひとのせい・・・・という子どものような論理だ。

「ボランニーが注意を喚起するのは、経済的自由主義の「ダブル・スタンダード」である。経済的自由主義は、いわば「聖域」としての市場それ自体の機能を弱めたり混乱させたりする恐れのある、政治を含めた干渉や介入を拒絶する態度を取る。しかし、市場が機能するための条件や状況を政治が作りだすことや、市場がうまく機能しない場合に政治が好適な手段を使って下支えする干渉や介入については、否定するどころか、「市場が歓迎している」として積極的に求めたりする」

そして、「「強力な政府」とは、文字通りも非常事態に対処する権力および市民的自由の中断を意味したのに対し、「自由経済」とは、実際には、字面とは正反対のこと、つまり物価と賃金が政府により調整されることを意味した」・・・というのは、今の日本でもいえ。 都合のいいことだけは政府の強力な介入を期待するのだ。




ファシズムに対して、付け加えると

「ボランニーの見るところ、ファシズムの原因は、根本的には、市場経済と民主主義との解決しがたい両立不可能性をその本来的弱点として抱える市場社会に求められる。経済危機という非常事態に顕在化する市場経済と民主主義の抗争に入り込み、前者に味方したのがファシズムなのである」・・・・であり、

たいへん示唆に富むのは、「市場システムによる調整の問題点が表面化しにくいのに対し、政治の領域における利害や意見の調整では、不一致、不満、妥協といった民主主義システムの弱点が注目を浴びがちである。そのため、政治領域が縮小すれば個人的自由の領域が拡大するという新自由主義の論法は、世論に強力にアピールする力を持っている。」





そして、もっとも印象に残るのが・・・・・・「社会の現実を無視して改革や改良や革命を実行に移すことはできないはずであるにもかかわらず、伝統的マルクス主義と経済的自由主義は完全な社会を夢想しがちである。」




若森みどり「カール・ポランニーの経済学入門」(平凡社 2015.8.11)
第一章 カール・ポランニーの生涯と思想
第二章 市場社会の起源
第三章 市場ユートピアという幻想
第四章 劣化する新自由主義
第五章 市場社会を超えて、人間の経済へ
終章 人間の自由を求めて










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