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zoom RSS ブレイディみかこ「ヨーロッパ・コーリング」

<<   作成日時 : 2016/08/16 19:13   >>

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ブレイディみかこ氏は、ロンドンの南の港町ブライトン在住。現地の「地べたからのポリティカルレポート」をネットに掲載している。2014年3月からのレポートをまとめたもの。


日本では左翼を「サヨク」と茶化し始めたころから、左翼が嫌われたし、サンダースのように自らを社会主義者だと公言する人も居なくなった。しかし、欧州では、どうも左翼が復活したようだ。


ブレイディみかこ氏によれば、彼では勝てないと言われ続けたはずの、生粋の社会主義者ジェレミー・コービンが、知らぬ間に英国労働党党首になっていて、いまや保守党党首よりも支持率が高くなっている。 スペイン、ポデモス(we can)党首、パブロ・イグレシアスは、政治学教授から転身して学生たちと政党を立ち上げ、民衆に語りかけられる左翼として、あっという間に多数の議席を獲得している。さらに、ナショナリズム政党と見られがちのSNP(スコットランド国民党)党首、ニコラ・スタージョンは、全くぶれずに、一貫して、反戦、反核、反緊縮を訴え続ける、労働党よりも左翼であって、圧倒的な支持を獲得している。


なんとも羨ましい限りである。左翼の野党が強く左翼らしくなって、はじめて、与党にブレーキをかけられるし、まともな議論になりうる。 「我々は格差を広げ、貧困家庭を増加させる保守党の政治に賛同しない。 それはスコットランドの精神に反するからだ。 我々は福祉と公平さに重きを置いたスコットランドらしい国家を建設したい。」と主張するニコラのような政治家が欲しい。


ブレイディみかこ氏は、欧州には、金も薔薇もという伝統がある。薔薇、つまり、Dignityが尊重されるので、日本のように貧乏が恥ずかしく、生活保護申請に行けば親族に伝わり尊厳も何も踏みつぶされる、そんな事態にはならないという。上下の分離は、日本の方が進行しているのではないかと懸念する。


サッチャーの後継者ブレアや、保守党によって、「「ゆりかごから墓場まで」と謳われた国は、働かない人間を墓場に送る国になった」が、「いわゆる「中道左派」や「ブレア派」の議員はもう20年近く、「景気を回復させます」以外のことで何かをきっぱり明言したことがあっただろうか」。 スピリットと金の戦いと言われたスコットランド独立投票でも、英国が言えたのは経済だけだ。


そのほか、おもしろい話題 ・・・・

「安倍首相は「There is no alternative 」という有名なサッチャーのスローガンを「この道しかない」と翻訳して選挙戦を戦ったそうだ。 彼は鉄の女を高く評価しているらしいが、サッチャーは自分が首相を務めていた時代に「スピッティング・イメージ」のような番組を主要局が製作・放送すること妨害しなかった」・・・(サッチャーを批評したり、笑い物にするような番組らしい。 安倍氏はそれは真似できないだろう。)


「「労働者階級のこどもが成功しようと思ったら、芸能界に入るか、サッカー選手になるしかない」と言われた時代もあったのである。ところが階級間の流動性がなくなった21世紀の英国では、こうした業界も裕福な子どもに独占されている。 こどもを演劇学校やサッカー・アカデミーに通わせる資本が親になければ、才能のある子ですら階級を上っていけなくなったのだ。」・・・(エディ・レッドメインやベネディクト・カンバーバッチは、名門校出身のエリートだそうだ。)


「病気とは、人々が金銭を払ってする道楽ではないし、罰金を払わねばならぬ犯罪でもない。 それは共同体がコストを分担すべき災難である」・・・(元炭鉱労働者知の厚生大臣アナイリン・ベヴァンが、NHSを構築した。 NHSでは診察・治療は今でも無料だが、保守党は、すこしずつ解体しようとしているようだ)


ニコラ・スタージェンの言葉が美しい・・・「政治的な反論は、それが情熱的で揺るぎなく、オープンで、正直で、相手へのリスペクトを持って展開されていれば歓迎します。  たとえその意見が、私なら使わないだろうと思う言葉を使って説明されていたとしても構いません。それが言論の自由というものの本質だからです。・・・しかしながら、私たちの政治ディベートのレベルを、暴力的な脅しやミソジニ―、ホモフォビア、性差別、レイシズム、障碍者差別などの低みにまで下げることは是認できません」 ・・・ わが国の首相や閣僚にはまったく期待できない


「ソーシャル・クレンジングやソーシャル・アパルトヘイトの最も悪い点は、「上」と「下」の人々が日常的に交わらなくなり、下層民がモンスター化されることだとよく言われる」 ・・・・ 内田氏は階級と階層の区別をしていたが、ブレイディみかこ氏が注目しているのは階層の分離だろう


「自分にも尊厳があると思うことができれば、貧乏でも自分には価値があると思うことができ、今は助けてもらって、そこからまた頑張ろうと前向きに考えられるものだろう」 ・・・・ 「米と薔薇、すなわち金と尊厳は両立する」・・・カネの話を軽視すべきではない。「薔薇を胸に抱くからこそ、正当に与えられてしかるべき米を要求するのだ」





ブレイディみかこ「ヨーロッパ・コーリング」(岩波書店2016.6.22)
T <SNP党首 ニコラ・スタージョンの写真>
U <労働党党首 ジェレミー・コービンの写真>
V <ポデモス党首 パブロ・イグレシアスの写真>





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