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zoom RSS 辻田真佐憲「大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争」

<<   作成日時 : 2016/11/14 07:54   >>

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大本営発表といえば嘘とでたらめの代名詞だが、そのきっかけはひどく単純だった。42年4月頃までは大本営の発表は比較的正確であり、米国の発表は誤りが多かったため、国民の間に信頼感がある程度あった。負け始めて本当のことが言えなかったのだ。嘘は嘘を呼び、繕いようがなくなる。更に負け続けて戦果の発表はなおざりになり、戦況説明、特攻の称賛ばかりになってくる。

大本営発表の本質は、軍部と報道機関の一体化だった。従軍記者の許可や「新聞用紙供給制限令」で用紙の配分などで新聞各社は軍に従属していった。

現地の報告は、遠くからのパイロットの目視に委ねられて誤認が多く、希望的な観測に流れる傾向があったが、日本軍は情報を軽視し、「善意に解釈するのが、日本の軍令部や報道部の寛大なる方針であったし、現地からの報告を無視するわけにも行かない」から、疑問があっても、そのまま発表する傾向があった

大本営は誇張された戦果に自ら騙され、縛られて、空母のいないはずの海域に部隊を投入して損害を被ってしまった珊瑚海や、海軍の惨敗を知らず、戦果を鵜呑みにして陸軍が作戦変更して惨敗したレイト島など、情報を粗略にして損害をふやしてもいた。

ミッドウェーの惨敗に際し、報道部はある程度の敗北は知らせ国民の奮起を促すかんがえだったが、作戦部は国民の士気が衰えるという理由で猛烈に反対、なかなかまとまらず、「自然の成り行き」で決まった内容は、エンタープライズ、ホーネットの撃沈など、「まるで架空の戦記小説」

ミッドウエー、ガダルカナル以降、一方的な敗北を大本営は発表できず、沈黙に徹した。 つまり「手痛い敗北は、存在そのものを抹消」、アッツ島の守備隊全滅に際して、陸軍報道部は表現に悩み、玉砕と言う言葉を使い、皇軍の真髄発揮という美談に変えてしまった。 

ラバウル、トラック環礁の一大拠点を攻撃され、燃料、食料、弾薬、艦船、輸送船など大量に失い、海軍は飛行機資材の優先配分を要求したが、いれられない。 それを見ていた記者が「竹槍では間に合わぬ」と書いた。東条以下、陸軍は怒り狂って、毎日の新名記者を37歳という高齢であるにもかかわらず招集して激戦地に送ろうとした。ひとりではあまりに露骨なので同郷、同年齢の250名も招集した。海軍が介入し、新名は招集を逃れたが老兵たちは硫黄島で多く戦死してしまった。

インパール作戦は、忘れた頃に全般の戦況の中に紛れ込ませて発表、「戦線の整理」と表現した。

特攻隊員は「神鷲」などと呼ばれ、不可侵な存在となり、戦果を疑うなど許されないことだった。大本営発表自体も疑うことが許されなくなった

連合軍の喪失数は、大本営発表に従えば、空母84隻、選管43隻に及んだが、実際は空母11隻、戦艦4隻、それも戦艦は41年12月の真珠湾とマレー沖海戦。 たいへんな水増し、ねつ造だった。

筆者も、大本営発表は昔の話ではないと語っている。原発事故の際も、安倍政権の報道管理も、同じことと警鐘を鳴らしている。


そのほか、興味深い話題


南京陥落は実際よりも新聞の方が興奮して勇み足をしていた

ハワイの特別攻撃隊は異例の長文で発表され、「海ゆかば」が初めて戦死の際の音楽となった。ここの「九軍神」は、ひとり捕虜となった事実は隠蔽し、アリゾナの轟沈という嘘をついた。

珊瑚海海戦で空母を撃沈したという、大本営は誇張された戦果に自ら騙され、縛られて、空母のいないはずの海域に部隊を投入して損害を被ってしまう

加藤隼戦闘隊の加藤中佐の戦死を軍神として発表

ガダルカナルに向かうサボ島沖海戦では、ソロモン海戦で成功し「夜戦の伝統」となったが、米軍のレーダー射撃によって艦隊司令官の戦死を含め、一方的な敗北を大本営は発表できず、沈黙に徹した。 つまり「手痛い敗北は、存在そのものを抹消」

日本海軍のシンボルだった「陸奥」の事故による爆沈も大本営は当然隠ぺいした

インパール作戦は最初は順調だったが、あまりに無理な進撃と物資の欠乏がたたり、餓死者が多発、白骨街道と呼ばれた悲惨な退却を行った。 これを大本営は数カ月後忘れた頃に全般の戦況の中に紛れ込ませて発表、「戦線の整理」と表現した

サイパン島で激戦が行われているさなか、東京では陸軍が二回撃退した文言を入れろといい、発表の主体である海軍はその必要はないと、つまらぬ一言一句をめぐって首相以下が対立、調整に奔走していた




辻田真佐憲「大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争」(幻冬舎新書2016.7.30)
第一章 日中戦争と大本営発表の誕生 1937.11-1941.12
第二章 緒戦の快勝と海軍報道部の全盛 1941.12-1942.4
第三章 「でたらめ」「ねつぞう」への転落 1942.5-1943.1
第四章 「転進」「玉砕」で敗退を糊塗 1943.2-1943.12
第五章 片言隻句で言い争う陸海軍 1944.1-1944.10
第六章 埋め尽くす「特攻」「敵機来襲」 1944.11-1945.8
第七章 政治と報道の一体化がもたらした悲劇
辻田真佐憲「大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争」(幻冬舎新書2016.7.30)
第一章 日中戦争と大本営発表の誕生 1937.11-1941.12
第二章 緒戦の快勝と海軍報道部の全盛 1941.12-1942.4
第三章 「でたらめ」「ねつぞう」への転落 1942.5-1943.1
第四章 「転進」「玉砕」で敗退を糊塗 1943.2-1943.12
第五章 片言隻句で言い争う陸海軍 1944.1-1944.10
第六章 埋め尽くす「特攻」「敵機来襲」 1944.11-1945.8
第七章 政治と報道の一体化がもたらした悲劇


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