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zoom RSS 小川さやか「「その日暮らし」の人類学」

<<   作成日時 : 2017/05/09 17:33   >>

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「明日は明日の風が吹く」、つまり、「その日暮らし」、Living for Todayの姿を人類学+経済学的視点で探っている。論文調の文章でやや硬く、なかなか頭にはいらないが、以下のプロローグの文が要約している。

「この経済の推進者は資本主義経済を嫌ってはおらず、ここにはラディカルな革命家も反グローバル運動家もいない。それどころか、国家や企業によるあらゆる規制を回避し、騙しや詐欺もふくめた自由な市場取引を好む彼らは、「より徹底的に新自由主義化」した経済秩序を形成しつつある。 しかし、この経済はより人間的な新自由主義の論理で動いており、主流派の経済システムに抵抗するよりも、それが生みだしている問題や不公正を解決する場となっている。たとえば、このトランスナショナルなインフォーマル交易の主力商品である廉価なコピー商品や模造品は、ブランド企業の知的財産権を脅かしているかもしれないが、他方で、それまで活躍の場がなかったアマチュアやオタクと呼ばれる人びとの創造力や社会ネットワ―クの力を解放する場ともなっており、またこれらの商品がなければ、グローバルな流れや技術にアクセスできなかった発展途上国の貧困層の物質的な豊かさを、部分的にではあれ実現している。そのため、この経済は、逆説的にも主流派経済に向けられるべき不満を自力で解消し、主流派経済を存続させる役割を担っているのだと」

タンザニアのインフォーマル経済を担う人びとの論理は、自分の生計の維持ができる程度に、「法律的には違反して」いたとしても、「道義的には許せる」範囲のことをする。従って「零細商人には、金持ちには高値で、貧者には安値で販売する基本姿勢がある」から、中国人のあふりかむけに手を抜いた商品を持ってくるのはやりすぎだとなる。しかし、日本商品はどうかといえば、「半年そこらで壊れる中国製品は不経済だが、五年、十年壊れない日本の高すぎる製品は意味がない」という。

つまり、ここの価値観には、際限のない金儲けもないし、貧困もないということだ。


とても印象的な一節・・・「みんなで動こうとすれば、機会を逃す。誰かが動けば、道ができる。バラバラに動けば、誰かは成功する。 誰かが成功して団子状態から一抜けすれば、その分だけ誰かの余地が生まれる。動けるのに動かない人間は、ほかのみんなの余地を奪う」




小川さやか「「その日暮らし」の人類学」(光文社新書2016.7.20)
プロローグ Living for Todayの人類学に向けて
第一章 究極のLiving for Todayを探して
第二章 「仕事は仕事」の都市世界―インフォーマル経済のダイナミズム
第三章 「試しにやってみる」が切り拓く経済のダイナミズム
第四章 下からのグローバル化ともうひとつの資本主義経済
第五章 コピー商品/偽物商品の生産と消費にみるLiving for Today
第六章 <借り>を回すしくみと海賊的システム
エピローグ Living for Today と人類社会の新たな可能性






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