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zoom RSS 中村桂子「小さき生きものたちの国で」

<<   作成日時 : 2018/01/13 08:58   >>

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生物学、分子生物学の研究者から、生きているとはどういうことかを考え、生命誌研究者を名乗る中村桂子氏の小さな文章を集めたもの。  筆者の考えていることの深い意味はよくわからないけれども、どれも、なかなか興味深いことは確かだ。 


「生きものを機械として分析していく場合に必要なのは、数式や法則です。けれども生きものが語る物語を読もうとしたら、必要なのは「言葉」」 であるとして、生命誌研究者を名乗る。 生物学は、分子生物学からゲノム研究になって、金に任せた大プロジェクトなっていった。 それに対するアンチテーゼでもある。 

DNAに分割して分析すれば生きものがわかる、という考え方は間違っている・・・と主張する筆者の気持ちはたぶん理解できる。 生物学は、もっと、生命の歴史に寄り添った多様なものなのだ。

「生物学が人間は地球上に暮らす数千万種とも言われる多様な生き物の一つであり、すべての生きものは三十八億年前に存在した共通の祖先から生まれたものであることを明らかにした。しかもその中のヒトという種は一種、つまり七十三億人の人はすべてアフリカから出て世界中へと広がった数少ない人々の子孫であることも明らかになった」

その生命の記憶は、ゲノムに記録され続けているのだ。  「たとえば、ゲノムには昔感染した名残と思われるウィルスゲノムの一部が入っている。ヒトゲノムには生命の起源からヒトに到るまでの歴史が書き込まれているのだからそれがあることは納得しよう。 しかしそれが私たちの体作りに関わっていることもあるとなると頭を抱える」


だから、「地球にやさしく」なんて、おこがましいと。 「私たちが扇の中に存在する多様な生き物の一つであると実感していればそんなおこがましいこと(「地球にやさしく」)は口に出せないはずだ」と。 逆に優しくしてほしいと願うものなのだと。

童謡に、「持続可能性という言葉の中にこめられている、人間による自然の操作を前提とした考え方の問題点が見えてくる。 実は、生きものは続くものなのであり、持続可能性は生きものが本来持っている性質である」と。







そのほかの興味深いエピソードに、こんなものがあった。

・まど・みちお 詩集から・・・「ものごとを思いがけない角度からも見る多様な目」例・・・小さくなった石鹸・・・「せっけんのおばあさん」vs「かわいい赤ちゃん」

・江上不二夫・・・「水俣病は海を物理的に見て水で水銀を薄めると考えた。 そこに生きものがいて濃縮が起きるという発想に欠けていた。 技術の基本に生物学の知識が不可欠だ」

・山中教授・・・「成熟細胞が初期化され多様性を持つことの発見」・・・「受精卵細胞から体細胞に変る間に何が起きているのだろう。山中教授は、この間にはたらきを失った遺伝子を外から加えたら元に戻るのではないかと考えたのです」

・利根川進・・・「多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明」・・・二万数千個しかない遺伝子は、どうやって100万種を超す外的、外来因子に対応するのか…遺伝子がさまざまに組み替えて多様性を出す

・風の谷のナウシカは、堤中納言物語の虫愛ずる姫君から着想を得ているという。 子の姫君は断トツの「おんなの子」、自然志向で自分の考え通りに生き、日常を大切にするおんなの子

・「人間になって突如心が誕生したのではなく、その芽生えは他の生きものの中に観られると考えている生命誌の視点からは、ダーウィンが見出したミミズの「知能」から人間への連続性を考えることは重要に思える。 近年それをつなげる一つの切り口として、心理学者ジェームス・ギブソンが提案したアフォーダンスがある」





中村桂子「小さき生きものたちの国で」(青土社 2017.3.1)
第1部 生命と科学
第2部 思慕と追憶
第3部 生活と視点

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