保坂正康「陰謀の日本近現代史」

「陰謀の」に期待しすぎるとがっかりする。「智恵と知恵の戦い」に期待しすぎるとがっかりする。日本の近現代史にある「陰謀」は、分かっている範囲では、ロクな「智恵」もない、情けない策謀だ、混乱の中のあがきだ。 アトランダムに面白い話題を・・・ ・ 「太平洋戦争を総合的に分析すると、直接的な敗因は軍事指導者たちの見通しの甘さにあ…
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韓国ドラマ「ストーブリーグ」

韓国の「百層芸術大賞」という映画・テレビのゴールデン・グローブ賞のようなものがある。2020のテレビドラマ部門の作品賞を「愛の不時着」を抑えて受賞したドラマである。 韓国のドラマでは珍しい野球チームのお話だ。 過去、各種のスポーツチームのGMとして、なんどか優勝させては、翌年廃部になってしまうという妙な優勝請負人の経歴をもつペク・…
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半藤一利「歴史探偵 忘れ残りの記」

昭和史の歴史探偵である半藤一利氏のエッセイである。文藝春秋の編集者、社員だった半藤氏が社の小冊子に連載していたものをベースに一冊の本にまとめたもの。半藤氏は完成前に亡くなったという。 向島の下町に生まれ育った悪ガキと自称する半藤氏は、なかなかの豪傑だったようだ。文春仮採用のときに坂口安吾の家まで原稿を取りに行って一週間も泊まったエ…
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韓国ドラマ「恋するパッケージツアー」

韓国ドラマも新しいアイデアが枯渇してきたのだろうか、パッケージツアーの始めから終わりまでの間、フランスの美しい景色を背景に参加メンバーとガイドの人生を描くという、なかなかユニークな試みだ。きっとフランス観光局の協力や後援がきっとあるに違いない。 残念ながらヨーロッパには行ったことがない。イタリア以外はあまり行きたいとも思わないけれ…
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宇野重規「民主主義とは何か」

日本学術会議の任命拒否6名のひとり、宇野重規氏の著作である。あの事件が無かったら手に取ることはなかっただろう。題名そのまま、民主主義とは何か、についてたいへん丁寧に、繊細に、やさしく解説したものだ。 知っているようで知らないのが民主主義。それは、たいへん曖昧な概念でもあるからでもある。筆者はアテナイのデモクラシーを基準に「参加と責任のシ…
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マーガレット・アトウッド「侍女の物語」

1985年の暮に出版、1986年ベストワンにも選ばれたディストピア小説にして、スリラー小説でもある。序盤はよくわからないが徐々に物語の内容が明らかになって行く。 時は、おそらく2000年前後、大統領が暗殺され、軍が国会を機銃掃射、そして軍が非常事態宣言を発し、イスラム狂信者の仕業と宣言した。国民に向けて、冷静に指示を待てと、次々に…
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柴崎友香「百年と一日」

目次を転記するだけでページがあふれる、そんな長い題名?のついた超短編物語の集まり。互いに関連があるのかと、また最後に全部繋がったりするのかもと予想したが、途中から、どうもそんな展開にはなりそうにないと気づく。たぶん、すべて別個の独立した物語だ。 各々の物語の舞台は、日本の地方のようでもあり、無国籍のどこかのようでもある。 そ…
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映画「権力に告ぐ」

IMF管理下にはいった韓国、米国のファンドが取得していた大韓銀行株式の売却に際して、不当に情報操作を繰り返すことで銀行の価値を実際よりも低く見せ、低価格に操作して売却をうながした。元総理など政府高官、国際取引専門の法律事務所らが、その動きに合わせて秘かに株式を取得していた。売却後、急速に業績回復となり株価が上がるのは必至だから、濡れ手に…
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モーム「サミング・アップ」

“THE SUMMING UP” by Somerset Maugham といえば、私の世代で大学受験をした人なら、知らない人はいないだろう。当時、英文解釈の問題にやたらと取り上げられたエッセイである。そんな記憶を懐かしんでいたら、行方昭夫氏の解説にも、大学で当時人気があったと書かれていた。 長編小説では「人間の絆」、短編では「雨」、「…
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沖浦和光「宣教師ザビエルと被差別民」

「宣教師ザビエルと被差別民」というタイトルから、ザビエルが被差別民に対して支援・布教した歴史を語るものかと考えたが、それももちろんあるが、どちらかといえばザビエルの生涯、そして日本の被差別の歴史、その二点を要約したという印象だった。 ロヨラとザビエルは、少数民族のバスク人で、ザビエルの父はナバラ王国の大臣を勤めた家柄だった。ゲルニ…
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カロリン・エムケ「イエスの意味はイエス、それから・・・」

書きながら思考を続けている、読みながら思考を深めている、そんな印象を持つ。その思索は、#MeToo につながる事態に、なぜもっとまともな対処ができなかったのだろうか、という自省でもあり、自分自身の行動をふくめ、どう考え、どう行動すればよいのかの施策でもある。カロリ・エムケ氏自体は、皮肉なことに「本物の女」と見なされない性指向だったから被…
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ニコ・ニコルソン・佐藤眞一「まんが認知症」

ニコ・ニコルソン氏は、宮城県出身で、東日本大震災で全壊した家の話に続いて、祖母の認知症と格闘する家族の話を漫画で表した。佐藤眞一氏は一貫して老年の研究を綴れているが、ご自身も、祖母の認知症に苦しむ母親を身近で見ていた。 経験に裏打ちされた、漫画と解説のなかなかいいコンビネーションだ。  認知症は、何となくわかった気になっているが、…
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韓国ドラマ「リミット」

韓国ノワール・アクション・ドラマの「リミット」、まさに「ノワール」に必須の、犯罪と悪に群がるヤクザたち、メチャクチャ強い陰のある男、謎の女ファムファタール・・・が、見事に揃った。 銀行員のキム・ドヒョン(キム・ムヨル)は、ある雨の日、銀行の前で美しい女性ユン・ジュヨン(コ・ソンヒ)に出会い、交際を始めた。3年後、結婚を決めた日…
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中野信子「空気を読む脳」

中野信子氏の著作は初めての体験となる。脳科学者というタイトルだが、脳科学者って何を研究するのだろう、よくわからない。想像するに、脳のどこの領域がどんな作用を働かせるか、といった研究なのか。認知症の原因となる脳の領域とか、問題解決に資するならともかく、興味本位で脳の領域を云々するのは、なんとなく怪しく感じるのは私が無知だからだろうか。 …
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半藤一利「靖国神社の緑の隊長」

半藤氏が週刊文春編集者時代に、ひとりひとり訪ねて取材し、著した「人物太平洋戦争」のなかから、8人を選んで、分かりやすく書き直した本だという。たいへん読みやすく、大きな活字で、200ページ足らず、一気に読んでしまった。 大江季雄少尉・・・棒高とびベルリンオリンピックのメダリスト、マニラ上陸は果たせず 小尾靖夫少尉・・・ガダルカナル…
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鶴見俊輔・関川夏央「日本人は何を捨ててきたのか」

時間を隔てて三回にわたって対談(瀬川氏にとってはインタビュー)したものを、関川夏央氏が鶴見氏の本音の姿を本に残したいと強い意欲で本にしたものだ。鶴見俊輔氏とは、私にはベ平連の鶴見氏としか記憶がないが、まったく違う側面を知ることができた。 テーマの「日本人は何を捨ててきたのか」に対する答えは、あまりはっきりしないが。 鶴見氏は「18…
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藤原帰一・石田衣良「世界一ポップな国際ニュースの授業」

テレビでも最近国際ニュースが少ないそうだ、国際ニュースどころか、国内でも掘り下げた報道がほとんどないと思う昨今だが、筆者は、高校生でも読める世界のニュースの本は、存在価値があるとふんだようだ。確かにわかりやすいし、内容もいたってまともで、文句が出るところも少ないだろう。 新書一冊読んで、付箋をつけた個所は一か所だけというのも珍しい…
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韓国ドラマ「自白」

BSフジで先月まで放映されていた韓国ドラマ「自白」は、なかなかの出来だった。 題名からわかるように、弁護士、捜査、法廷ものであって、なかなか密度の濃い、良いドラマだ。もっともこの種のドラマのパターンとしては、それほど珍しいものはないが。軍事汚職に関わる、闇の勢力、前大統領の甥という国会議員、ブラック企業が検察幹部とグルになって利権を追求…
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イ・ミギョン「クモンカゲ」

絵本というより美術書だ。画家本人の解説付きといった趣。クモン(穴)+カゲ(店)で「小さな店」のことを言うらしい。二人目の子を出産して、田舎の小さなクモンカゲで休んで、描き始めてから20年、韓国国内のクモンカゲを探しに行っては描き続けているという。  その絵は、どこか懐かしい。美しくはあるが、古く、寂れたような店の佇まいは、時を遥か…
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映画「マルモイ ことばあつめ」

何度も何度も涙があふれてくる。切ない、哀しい、罪深い。昨年、シネマート新宿で公開されていたが、小心者ゆえコロナが怖くて見に行けなかった。映画館ならそれでも最後まで一挙にみられるが、WowoW録画での視聴は、見ていられなくて何度も何度も止めてしまう。別にそんなに悲しい物語ではないし、ユ・ヘジンの顔はむしろコメディなんだが。それに、史実も少…
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関裕二「「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける」

通説には、水田稲作は渡来人がもたらしたもので、そこから弥生時代が始まる。ヤマト建国は、その渡来人が中心になったもの・・・といった説だと思われる。「北部九州の邪馬台国が東に移動してヤマトは建国された」という説もある。 しかし、炭素14年代法が浸透し、いままでの通説がかなり書き換えられつつある。 まず、縄文時代は、長い間紀元前4,50…
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佐伯一麦「山海記」

不思議な構成の小説、いや、紀行記だ。 「彼」なる人が紀伊半島、十津川をめぐる、新宮行きのバスに乗る。行く先々で、いろんな想いに囚われたり、記憶を呼び覚まされる。東北の災害から4,5年経っていて、その当時を想起したり、古くからの友人とのおちゃめな青年時代や、その友人の突然の死をいぶかしみ、反芻したり、十津川郷士のエピソードだったり、天誅組…
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ハン・ガン「菜食主義者」

ハン・ガンという作家は、「少年が来る」、「すべての、白いものたちの」、「ギリシャ語の時間」に次いで、4冊目になる。しかし、これほどの激しい作家だったのかと初めて知った。 姉と妹、二人のそれぞれの夫、四人とその家族の、しかし、結局は孤独なひとりひとりの物語。 醜悪な夢を見たことから、突然、肉を食べることを拒否し始めた妹、動物であるこ…
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ピーター・テミン「なぜ中間層は没落したのか」

MITのテミン教授が、比較的一般向けに、米国の中間層没落について根本的な原因を解き明かす。ノーベル賞受賞者であるルイス氏の二重経済モデルを米国に当てはめて、話を単純化して説明しているのが成功していて、そうなのかとたいへん分かりやすい説明になっている。そのうえ、さらに米国民しか知らないであろう細かなエピソードが満載なので、説明の説得力が際…
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映画「ほえる犬は噛まない」

ポン・ジュノ監督の長編第一作という。 若いペ・ドゥナが奇妙なおかしさを醸し出している。この映画を見て、山下敦弘氏が「リンダ・リンダ・リンダ」の主役にと、ジュノ監督に頼み込んだという。 ペ・ドゥナという役者はほんとに素敵でユニークである。最近のドラマ「秘密の森」でも光っていた。 仕事も夫婦の生活でも、うまくいかない男が、やけになって…
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映画「悪人伝」

どちらかといえば「いい人」を演じることが、最近多くなったマ・ドンソクが、久しぶりに「悪人」を気分よく演じていた。といっても、彼の「悪人」は、どこまで行ってもヤクザな悪人であって、政財界を牛耳るような裏の悪人、本当の悪人とは、一味違う。ストレートの悪人なのだ。 そのヤクザのマ・ドンソクと刑事が連続殺人犯を追う。悪人化と悪人が、ほんとの悪人…
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ウスビ・サコ「アフリカ出身 サコ学長、日本を語る」

アフリカのマリから、中国へ、そして、日本に留学、その後、日本で職を得て、結婚もした、現在、京都精華大学学長のスビ・サコ氏が、来日の経緯、日本と日本の大学について語っている。 1991年に来日、日本語学校に入学されてから、1年後には京大大学院工学研究科に入学、2001年に京都精華大学専任講師として入職、そして2018年に学長就任とい…
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アルフレッド・W・クロスビー「史上最悪のインフルエンザ」

名著と言われる「Epidemic and Peace,1918」 、後に、「America’s Forgotten Pandemic」と改題された、歴史学者クロスビー博士の著作の翻訳である。 名著と言われるだけあって、たいへん読み応えのある本であって、スパニッシュ・インフルエンザ (日本では「スペイン風邪」と一般に言われる) の詳細な経…
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アンジェラ・サイニー「科学の人種主義とたたかう」

なかなか読みにくい本ではあるが、たいへんだいじな論点を丹念についている。「人種主義」という耳慣れない訳語を使っているが、もとはracismである。訳者があとがきで述べているように、「人種」という言葉はたしかに、妙な、誤解されやすい言葉だ。「Race」に対して、「「人種」という訳語は身体的な形質の違いを指すものだと誰もが考えてしまう言葉」…
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韓国ドラマ「魔女たちの楽園~二度なき人生~ 」

現在WowoW放映中のドラマもいよいよ佳境に入ってきた。最初の頃は、どうもリズムも悪く、配役もユン・ヨジュン氏を除いては、ぱっとしないので、あまりよくは見なかったが、最近、ドラマらしくなってきた。 「二度はない」というのが原題で、いろいろ傷ほもったひとが「楽園荘」なる民宿のようなホテルにあつまり、家族のように助け合ってゆく。なぜか、全員…
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