映画「ひろしま」

1953年8月に作られながらも、配給会社松竹の米国や政府に対する忖度から大手チャネルでは公開されず、細々と自主上映などで公開されてきたという。そしてなぜか、NHKが今年放映した。 作成時のドキュメンタリーも含めて。公開を辛抱強く続けてきたのは、撮影時の監督助手だった肩の息子さん、そしてさの遺志を継いだお孫さんという。  原作は「原…
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アーシュラ・K・ル=グウィン「空を駆けるジェーン」

アーシュラ・K・ル=グウィン「空を駆けるジェーン」(講談社 2001.9.20) ル=グウィン氏とみて、ひょっとして「ゲド戦記」の作家かなと思ったら、やはりそうだった。こんなファンタジー絵本も書いていたなんて。 ジェーンは、仲の良い異父兄弟とともに田舎に住んでいたけれども、どうしても変化を求めたくて、ひとりで街に出た。 しか…
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辺見庸「月」

「1★9★3★7」をはじめ、その独特の言葉をつむぎだす辺見庸氏の最新作は、明らかに昨年の相模原の津久井やまゆり園における障害者殺傷事件を素材としている。素材というよりも、ひょっとしたらいろいろと取材をして、かなり実態に近いのではないかと考えてしまうが、恐らくかなりは辺見氏の創作だろう。 なぜなら、キーちゃんと呼ぶ入所者の思いを通し…
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映画「この世界の片隅に」

「夕凪の街 桜の国」でも、さりげなく戦争の悲しみと怒りを語ったこうの史代氏の原作の映画化で、この映画も、広島と呉で暮らす人々の日常を丁寧に描き、おもわぬ流れで戦争に巻き込まれてゆく怒りを静かに語っている。  広島に暮らす浦野すず(のん)は、のんびり屋さんで絵を描くのが好きな18歳の女の子。呉に住む北条周作に見初められて、急に縁談が…
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映画「この空の花 長岡花火物語」

何度かの劇場公開時にその都度見逃してきた「この空の花 長岡花火物語」、やっとWowoWで見られた。 これは傑作だとおもう。三部作の中でも抜きんでてすばらしい。 大林監督の、往年のリリシズムや「ハウス」の諧謔を彷彿とさせる映像美がある。 そして、悲しい、しすし、若い希望の物語もある。 大林監督の代表作といっていいのではないか。 私が…
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マリー・ンディアイ「三人の逞しい女」

「ンディアイ」と「ン」で始まる姓は珍しい。筆者はセネガル人の父とフランス人の母との間に生まれた。訳者の解説によれば、17歳で最初の長編小説が絶賛された天才的な作家でプルースト張りの美文なのだそうだ。翻訳ではその辺のところはわからないが、確かに、文章は長く、やたらに説明が続いてゆき、ストーリーとして展開してゆくより、主たる登場人物の意…
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映画「さらば愛しきアウトロー」

ロバート・レッドフォードの俳優としての引退作品と話題になって、見てみようと思いたった。レッドフォードは適役だ。70歳過ぎの上品で老練な銀行強盗で、誰も傷つけずに成功し続けるという、かっこいい強盗だ。被害者の銀行員は、犯人の様子を、いい人そうだとか、幸せそうだとか評している。楽しんで銀行強盗をしているなんて、ロバート・レッドフォードにぴっ…
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映画「世界の涯ての鼓動」

「パリ、テキサス」は、私の最も好きな映画の一つであって、それだけでヴィム・ヴェンダース監督は特別な監督である。ヴェンダース監督の映画ということで、期待を込めてみたけれども、残念ながらあまり期待してはいけなかったと思った。どうもこの映画は好きになれなかった。 主演の二人、ジェームズ・マカヴォイとアリシア・ヴィカンダーも、もともとあま…
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映画「パティ・ケイク$」

私の日々の生活や趣味嗜好とはまったく真逆の世界だが、こういうラッパーとしての成功を夢見て、寂れた町から抜け出そうと頑張る音楽青春映画は、好きな映画の範疇だ。 パティ・ケイクス(ダニエル・マクドナルド)は,親友でドラッグストアの店員ジェリー(シッダルト・ダナンジェイ)と、ラッパーとしての成功を夢見て、ニュージャージーの寂れた町で、街…
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金城孝祐「教授と少女と錬金術師」

金城孝祐氏は初めての体験となる。このような小説を読むと、自分は「文学」というものが、やはり結局わからないとつくづく思う。始めからファンタジーならそれはそれで受け入れるのだが、普通の話に、常識の範囲を超えた不思議な出来事が続くと、なんとなく白けた気になってしまう。 脂肪酸で卒論を書いている薬学部5年生の私、久野はモグリで良質な油を作って…
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映画「サマーフィーリング」説明を排した淡々とした繊細な物語

「アマンダと僕」が評判よかったからだろうか、ミカエル・アース監督の以前の作品が公開されていた。 突然恋人を亡くした作家と家族がその喪失感を少しずつ、何年かかけて克服してゆく姿を、ごく自然に、繊細に、淡々と描いている佳作。 静かな語り口で好感がもてる。 ロレンス(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)は、また駆け出しの作家。どちらかとい…
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垣根涼介「信長の原理」

垣根涼介氏は私には初めての体験だ。一般にはかなり受けて読まれる作品なのだろうと思うが、私には、あまり受けなかった。歴史小説は好きなジャンルだが、基本的にみな嘘だと思っている。講釈師見てきたような嘘を言い、である。その傾向としては、司馬遼太郎氏のように自分の史観にかなうように創り上げたものか、現代社会を投影して人間関係などを創り上げたビジ…
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映画「孤独なふりした世界で」

ヒューマントラストシネマ渋谷で、定期的に開催される「未体験ゾーンの映画たち」は、大手の配給から漏れて劇場公開が難しい映画を短期間上映している。今年2019で、この映画も上映されたらしい。事前に知っていれば、見に行ったろう。というのも、エル・ファニング出演映画だからだ。 「アイ・アム・サム」の有名なブランコシーンで、子役のダコタの幼…
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望月優大「ふたつの日本「移民国家」の建前と現実」

日本における「移民」政策を入管法に沿って解説、その問題点を要領よく指摘している。 日本は移民政策をとらないと言うが、実態は、「どんな定義を採用するのであれ、この国にはすでに数多くの「移民」がいる (中略) この国がその「現実」を直視せずにここまでやってきた。 (中略) 「移民」という現実の否認は、この社会に生きる人々をまったく異質…
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映画「親切なクムジャさん」

パク・チャヌク監督は韓国映画界の有名監督だが、私はそんなに好きではない。どの作品も私には濃すぎて、おどろおどろしい。しいて言えば初期の「JSA」 (2000)がいちばん普通の映画らしい。 「お嬢さん」 (2016)、「スノーピアサー 」(2013)、「イノセント・ガーデン」(2013)、「渇き」 (2009)、 (2005)、「オールド…
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映画「ザ・シークレットマン」

ウォーターゲート事件の内部告発者「ディープ・スロート」の真相を語る映画。 1974年7月30日、ホワイトハウスの録音テープをニクソンが最高裁の命令に従って提出、8月9日にニクソンが辞任したが、盗聴、民主党本部侵入、FBI捜査のもみ消し、証拠隠滅、司法妨害・・・などなどてんこ盛りのホワイトハウスの行動を、FBIの独立性を守ろうとしたFBI…
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映画「黄泉がえる復讐」

オートバイに乗った少年にバッグを奪い取られそうになったミョンスク(キム・ヘスク)は必死にバッグを抱え、引きずられた後に、ナイフで刺殺されてしまった。検事で息子展開しであるジンホン(キム・レウォン)は母を訪ねに近くまで来ていて、犯行現場に駆け付けたがすでに遅かった。ジンホンは警察と協力して犯人の操作に当っていた頃、姉からの突然の電話に…
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映画「工作 黒金星と呼ばれた男」

「ブラック・ヴィーナス」という暗号名で安全企画部国際情報部の対北朝鮮スパイが、核開発の状況を探るための遠大な計画として作り出した離散家族訪問・白頭山観光・広告映像場所提供などの事業を提案し、金正日に認めさせるなどの緊迫の工作を、史実に基づいて再現する。単にスパイ工作として始めた事業が、中国のように改革開放に向かうこと、そして南北融和に向…
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映画「存在のない子供たち」

なんとも気の重くなる映画だ。ところどころにユーモアも交えているのだが、ちっとも笑えない。あまりにも過酷な子どもたちの現実に、ただたじろぐだけだ。  出生証明書も身分証も何もない、自らクズのようだと称する貧しい両親のもとに何人も子どもが生まれ、子どもたちは、男の子は學校にも行かずに街なかを徘徊して働き、女の子は11歳で、金のあるクソ…
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内田樹・成瀬雅春「善く死ぬための身体論」

内田樹氏と成瀬雅春氏の対談本は二冊目だという。たいへん魅力的なお二人だけれども、この対談は私にはあまり面白くなかった。 善く死ぬためには善く生きることだと、至極当たり前のことしかないし、それは当然のことでもある。もっとも、もうすこし知性ある読み手なら二人の対談の魅力をより理解できるかもしれないが。 成瀬氏は、最後に、「少しでも、楽…
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映画「オリーブの樹は呼んでいる」

スペインのオリーブ園、祖父と一緒に遊び過ごした巨大なオリーブの樹、思い出のいっぱい詰まった樹齢2000年のオリーブの樹。子どもの頃に、その樹は、祖父の反対にもかかわらず、経営に苦慮していた父が売ってしまい、根こそぎ運ばれていった。 そのことからか祖父はすっかり心を閉ざし、体も変調していった。話しかけても反応のない祖父のために、アルマ(ア…
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チェ・ウニョン「ショウコの微笑」

「作家の言葉」に、最初は小説家としてあまりうまくいかないんじゃないかと、「ショウコの微笑」も予選で落ちたコンテストもあると告白している。その後、別のコンテストで新人賞を受賞したという。  クオン社の「新しい韓国の文学シリーズ」の19巻。同シリーズの15巻には「少年が来る」が掲載されている。どれも読みたい本が並んでいる。 短編集「…
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島薗進「ともに悲嘆を生きる ブリーフケアの歴史と文化」

上智大学グリーフケア研究所所長である筆者の島薗進氏が、グリーフケア全般の話題を記している。 たいへん広く「悲嘆」に関わるテーマを取り上げていて、たいへん興味ぶかいが、私には話題が広すぎて焦点がぼけてしまったように感じる。 グリーフケアは、フロイトの「悲哀とメランコリー」の時代にまで遡ることが出来るが、米国では、ビヴァリー・チャペル…
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映画「ワイルドライフ」

,前回の映画見る機会は「新聞記者」にしたので、今回ようやくこの映画を見ることが出来た。見たかった理由は、ただひとつキャリー・マリガンだ。「わたしを離さないで」、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」、「ドライヴ」、「未来を花束にして」・・・と、素敵な映画で素敵な演技をしている、たいへん好きな女優の一人である。 一方…
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映画「Girl/ガール」

トランスジェンダーでバレリーナになることが夢の少女が、少年の体であることに焦りと不満を抱き続け、楽しみにしていたホルモン療法がなかなか期待通りにいかない、そんな状況に食欲も睡眠も正常でなくなって、厳しいバレエ学校の訓練に身も心も疲労してゆく。  同じトランスジェンダーが主役の「アバウトレイ」に比しても、この映画のリアリティは際立っ…
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浅川晃弘「知っておきたい入管法」

入管法について丁寧に説明している。 筆者の思いとしては、入管法自体があまり知られていないことと、説明する本があまりないことから、法律自体のわかりやすい説明を心掛けたらしい。 だから、入管にまつわる課題や移民・難民問題についての議論を目指した者でない。だから、つい、それで? と言いたくなるが、それはこの本の趣旨と違うと期待してはいけない。…
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映画「Love, サイモン 17歳の告白」

高校生サイモンが、ゲイのカミングアウトをする悩みと幸せな映画だ。 もちろん、それなりの悩みや苦痛はあるにしても、なんとも、ぶっ飛んだ、ハッピーな青春映画だ。 「ムーンライト」などの暗さは、ここには微塵もない。それだけゲイは市民権を得たのかもしれない。黒人と白人の違いか。 サイモン(ニック・ロビンソン)はゲイ、ネットでゲイの友を互い…
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映画「新聞記者」

映画は映画であって、ドキュメンタリー映画でなければ、フィクションにすぎない。 だから、映画が直接政権批判をしているわけではない。だから、政権批判をしたい人々が妙な期待をこの映画にかけるべきではないし、上映終了後に拍手するようなお約束も、ある意味同調圧力の一種だ。政権側も、気に入らない元事務次官や新聞記者が出演しているからと言って、フィク…
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丸山俊一他「マルクス・ガブリエル欲望の時代を哲学する」

マルクス・ガブリエル氏が訪日した時のNHKのドキュメンタリーも視聴したが、強い印象はなかった。 そして、この本である。印象どころか、よく理解できなかった。 哲学界の「ロックスター」とか、「天才児」とか称されるらしいマルクス・ガブリエル氏だが、それもこの本からはうかがわれない。私は哲学書をよく手にするが、たいていの本は最後まで読み続け…
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大田昌秀「日本の沖縄意識 醜い日本人」

この本の出版年は1995年だが、太田氏が著述したのはほとんど沖縄返還前だ。沖縄には、「人に傷めつけられても寝ることができるが、人を傷めつけては眠られぬ」、という意味のことわざがあるらしい。沖縄は、日本本土からは30年も遅れているといわれ、封建制の残滓が濃く残っている、たいへん保守的な風土で、前近代的な共同社会だという。 そういう沖縄が、…
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