韓国ドラマ「まぶしくて-私たちの輝く時間」 地味だが珠玉の小品

ファンタジックだが地味な恋愛ドラマが、突然妙な婆さんストーカーと年寄り達の話に転換し、それが、全体の三分の二ほど過ぎると、劇的な驚くべき転換となる。やや粗削りだけれども、珠玉のドラマ、珠玉の小品、といってもよい。 私好みの韓国ドラマのベストテンには必ず入る作品だ。 キム・ヘジャ(ハン・ジミン)は25歳、アナウンサー志望だが、うまく…
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金敬哲(キム・キョンチョル)「韓国 行き過ぎた資本主義」

「行き過ぎた資本主義」という言葉が妥当なのかどうかはわからないが、韓国社会の過酷さは大変よく分かった。  2011年に誕生した恋愛・結婚・出産を諦めた「三放世代」が進み、あらゆるものを放棄する「N放世代」となった・・・・、5歳未満の子供たちまで英語発音能力を高めるための、舌の下側を切開して舌を長くし柔軟性を高める手術をする「大峙洞…
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メーガン・C・ヘイズ「幸せに気づく世界のことば」

たいへん楽しい、絵本のような本だ。 文章はともかく絵が素晴らしい。 世界各国の言葉で、筆者が「Happiness Passport」と思うような言葉を集めて、なぜその言葉が幸福につながるのかを、文化や背景、人びとの思いを解説している。そんな、素敵な本ではある。 当然のことに、そこには筆者の幸福感が滲み出ている。 筆者は、作家であり…
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ブレイディみかこ「This Is JAPAN 英国保育士が見た日本」

この本も間違いなくお薦め本である。ブレイディみかこ氏の著作は過去何冊か体験していて、その都度、目からうろこの発見をしている。大所高所からみた話ではなく、地べたの英国生活、保育士の体験、それらを通した確かな視点が、半端ない批評にまでなっている とくに要約することもないが、日本の新自由主義的過酷さは、英国に引けを取らないし、人権に対す…
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リチャード・パワーズ「オーバーストーリー」

これは素晴らしい本だ。わたしにとって今年最高の小説と言っていい。600ページを超える大作だから一気に読むことはできなかったが、大河小説のように、群像劇のように、壮大なスケールで、時代を俯瞰してゆく。まるで巨木の先端から世界を見るように。 展開してゆく。 訳者あとがきに訳者が要約したものが挙げられている。 「「オーバーストーリ…
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テッド・チャン「息吹」

映画「メッセージ」の原作、「あなたの人生の物語」の作者、テッド・チャンの待望の二冊目らしい。ひどく寡作な人らしい。 映画「メッセージ」はたいへん感動的な素晴らしい映画だった。原作と100%同じではないが、この映画のように、一つの解釈を経た作品を味わうのが、テッド・チャンの小説のよい読み方かもしれない。というのも、それぞれたいへん興味深い…
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マルクス・ガブリエル「世界史の針が巻き戻るとき」

日本人の聞き手にインタビューしたものをまとめた本のようだ。だから、日本の話題もあるし、聞きやすい(読みやすい)けれども、だからといって、「新実在論」がわかりやすくなるわけではない。 「今我々に起きている危機―価値の危機、資本主義の危機、民主主義の危機、テクノロジーの危機―の現状を解説して解決策を探り」、それらの危機が集約される「表…
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今村夏子「むらさきのスカートの女」

読み進めてゆくうちに、きっと大きな事件や、話の転換が起こって、「むらさきのスカートの女」と「黄色いカーディガンの女」に大きな変化が起きるにちがいない、との期待が高まるが、とくに、どうってことのない、それほどのことでもないが、ひどく微妙な展開になって・・・いったいぜんたい、この小説はなんなんだろう、と、不思議な思いで終了する。 いつ…
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映画「ヘイト・ユー・ギブ」

カーター夫妻の三人の子ども、セブンは完璧、スターは輝き、セカニは喜びを表しているという。名前に力がある。理不尽な世の中でも黒人の誇りを忘れるなと、ブラックパンサーの10項目の綱領をスターが9歳の時に教える父親マーヴェリック(ラッセル・ホーンズビー)。 そして同時に、警官に出会ったら、刺戟するな、車に乗っていたら奪取ボーと背の上に両手を置…
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映画「ハウス・ジャック・ビルト」

ラース・フォン・トリアー監督の映画は、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「アンチクライスト」「メランコリア」「ニンフォマニアックvol1」に次いで五作目だが、どうも好きになれない。まあまあ、私の好みに適ったのは、「メランコリア」だけで、「ハウス・ジャック・ビルト」を映画館で観ていたら、途中退席していただろう。 この監督は、私には、やはり一種…
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ソン・ウォンピョン「アーモンド」

最近の韓国の若い作家の作品には、作家の言葉、あとがきが掲載されていることが多い。 出産直後の我が子を見て、「この子がどんな姿であっても、変わりなく愛を与えることができるだろうか。期待とまったく違う姿に成長したとしても?」と問う。そして、「その問いから、「果たして私だったら愛することができるだろうか?」と首をひねってしまうような子が二人生…
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マイケル・オンダーチェ「戦下の淡き光」

原題の"Warlight"は、「戦時下の灯火管制の際、緊急車両が安全に走行できるように灯された薄明りを指している。この物語全体もまた、そうしたほのかな明かりに照らされるかのように、真実がおぼろにかすみ、なかなか姿を現さない」と、訳者はあとがきで述べている。そう、ほんとにそんな感じの小説だ。ぼんやりしているのだ、主題も、状況も、登場人物も…
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菅沼栄一郎・菊池明敏「水道が危ない」

大所高所から「水道」事業の問題を論じるのでは全くなくて、あくまで現場の視点で告発しているかのような、泥臭い本だった。 要は、設備は老朽化して有収率は高まらず、節水や人口減少ために水需要は減少の一途だと。いままでは多目的ダムにも仕方なく付き合っていたが本音は参加したくない。だから、必要なのは、水道運営主体の統合化であって、民営化ではない…
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森政稔「戦後「社会科学」の思想」

「社会科学」とは何だったか、あらためて問われると分からなくなるが、まあそれはいいとして、コンパクトななかにぎっしり歴史的な話題、政治的社会的経済的な話題も豊富で、なかなか良い本で、教科書や入門書としても素晴らしいと思う。私としては、1968年ごろのニューレフトの話題がたいへんなつかしかったことと、新自由主義の話題がよくまとまっていると感…
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坂靖一「ヤマト王権の古代学」

なかなかおもしろい。よくロマンがあるといわれる古代史だが、古墳や遺跡の研究成果だけでなく、「日本書紀」などの記述も明らかに否定的なところ以外を参考にしつつ、大胆な想像?を繰り広げている。私には正解は当然わからないけれども、筆者がかなり踏み込んだ洞察をしているように感じる。筆者はあとがきでこんなことを語っている。「古墳はあくまで墓であって…
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映画「ディリリとパリの時間旅行」

なんとも楽しいアニメーションだ。ニューカレドニアからひとりやって来た少女ディリリが、自分に向けられる人種差別にもくじけることなく、いろんな人に出会い、出会った人の名前をノートに書いてゆく。今度は一体誰に出会うのだろう。ベル・エポックのパリは綺羅星のような人々が出会う街だった。そして差別されるディリリが、パリの街を震撼させる性差別悪者集団…
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チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」

私もたいへ好きな作品「フィフティ・ピープル」のチョン・セランが、もともと馴れた?舞台であるファンタシーの作品で、最新作らしい。学校の怪談のような、学校の保健室をとりまく、この世のものでないものを描く短編が続く。「フィフティ・ピープル」ほどではないが、なかなか面白い。 見たくもない者が見えてしまうアン・ウニョンは、病院勤務に疲れて、…
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マルクス・ガブリエル他・斎藤幸平編「未来への大分岐」

斎藤幸平氏は初めて読むが、経済思想の学者さんのようだ。マイケル・ハート氏、マルクス・ガブリエル氏、ポール・メイソン氏との対談を通して、資本主義の終焉とポスト資本主義の未来を読み取ろうとする。なかなか読み応えのある、勉強になる新書本だ。新自由主義はもう続かない、社会運動やコミュニティが重要・・・・3人とも比較的明るいが、私は、どうも悲観的…
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斎藤啓一「フランクルに学ぶ 生きる意味を発見する30章」

精神科医としてのフランクルの手法、ロゴセラピーの解説であるが、フランクルといえば「夜と霧」が切りはなせない。ロゴセラピーを確立するうえでも「夜と霧」体験は欠かせなかったのではないかという思いから、筆者は、前半に、「夜と霧」のエッセンスを解説している。 ロゴセラピーとは、「ロゴスを覚醒させる技法」であり、ロゴスとは人間の精神(生命)…
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劉慈欣「三体」

2006年に発表され、賞も受賞した評判のSFらしい。400ページを超える大部だが、三部作でその最初の本だ。二冊目、三冊目は、さらに分厚く、合わせて一冊目の3.5倍に上るらしい。確かに、えらくスケールがでかいし、地球外生命体との出会いのジャンルにしてもかなりユニークな内容だ。そして、語り口が独特だ。リアルタイムで事態が進行する部分は少なく…
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映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

正統な血、美貌、大胆さ、,結婚して後継者もいる、というメアリーの持つ美点、エリザベスにとって妬ましい美点が、メアリー失脚の遠因となった。 イングランドの正統な王位継承権ももつスコットランドの女王、メアリー・スチュアートは、フランスから帰国し、イングランドの女王エリザベスとの緊張関係、両女王を取り巻く王族、士族たち、周囲の、王権に対する欲…
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V.E.フランクル「夜と霧」

さて、このあまりにも有名な本も、断捨離を生き残って積まれていた、いつも読んだ気になっていて最後まで読まなかった本のひとつ。今回、パンデミックの影響で図書館からの供給が止まり、長年の宿題を果たすいい機会になった。とはいえ、200ページ足らずの本ながら、きちんと読むのは至難の業。別に難しいことが書いてあるわけではないのに、立ち止まらないと自…
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映画「ストレンジ・アフェア」

たいへんよくできたミステリー、サスペンス映画だ。かなり怪しい方向、つまりオカルトに行くかと思われたが、ぎりぎりのところで、ミステリーにとどまった。 プロムの晩、長男ロニーとその恋人メリッサは幸せの絶頂にあるとき交通事故に遭う。ロニーは死に、メリッサは生き残った。その死を境に、ロニーの家庭はばらばらとなり、次男フィリップはエキセント…
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映画「バーニング 劇場版」

原作は、村上春樹の短編『納屋を焼く』という。それは読んだことはない。ミステリーのようでもあり、不条理劇のようでもあり、やや得体の知れない物語だ。好きな人は好きなのだろうが、私にはちっとも面白くなかった 幼馴染のヘミ(チョン・ジョンソ)に偶然出会ったジョンス(ユ・アイン)は、ヘミが旅行中に、アパートの部屋に行き猫に餌をやってくれと頼…
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映画「神と共に 第一章:罪と罰 / 第二章:因と縁」

スペクタル・ファンタジーと称される大作だ。なかなかよくできた大掛かりな映像だが、なんとなく漫画っぽいと思ったら、原作は漫画だったらしい。第一章は、精一杯生きた亡者の地獄めぐりをとおして人生の罪を問う。そして第二章では、地獄の案内役を務めた三人の死者の因縁と許しを描く。ストーリーも韓国映画らしい、人の優しさと欲の醜さがいっぱい。 火…
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「アベノマスク」についてまとめてみよう

アベノマスクが届いて、3日後にホームレスの支援センターに送った。 記念にとっておいても良かったが、莫大な費用の掛かったものだから、役に立つなら役に立ってほしい。 記念と言えば、記念に「アベノマスク」についてまとめてみよう。 01. まず、アベノマスク政策決定過程が不透明、あるいは、ごく少数の官邸の人間で決まったことは…
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夏目漱石「明暗」

何十年ぶりの再読だろうか。多分三回目で、最初は中学生のときだと思う。妙に気に入って、漱石の中では一番好きな小説だったことだけ記憶している。しかし、中学生にこの小説がわかるだろうか。分かるわけはないという意見もあるだろうが、意外に中学生くらいになれば、なんとなくわかっているものなのだ。 さて、こんなに理屈っぽい、心理劇のような小説だ…
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映画「イメージの本」

シネスイッチ銀座でこの映画が公開されているころ、何度か見ようかと思いながら逡巡して結局やめたのは、見てもどうせわからないと、決めてかかっていたからだ。若い時、ゴダール作品はよく見ていた。「気狂いピエロ」、「女と男のいる舗道」なども好きな映画の部類だった。 その後、五月革命以後、ゴダールはやけに政治的になって、当時に一層分かりにくい映画を…
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映画「グラビティ 繰り返される宇宙」

宇宙の危険な地域デッドゾーンに一隻の宇宙船が消えた、その乗組員のひとりに元妻がいると知ったコール(アンソニー・ボナヴェンチュラ)は、ひとり、探索に出る。コールが船を見つけたとき、まったく同じもうひとつの船、ATROPA と衝突しかかった。  現在が逆行して過去にぶつかってゆく、あるいは未来が現在に近づいてくる。永遠の時間のループが…
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フェリペ・フェルナンデス=アルメスト「人間の境界はどこにあるのだろう?」

10年以上も前の本で、なおかつ、あまり明解な答えがあるとも思えない、むずかしい問い、「人間の境界はどこにある?」を投げかけて、結論的にも、やはりわからないという、あまり読む意味を見出せない書物ではある。それでも最後まで到達したのは、やはり、この考察にも興味深い歴史があるからだ。 人間と人間でないものを分けるのが難しいのは、生物学的…
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