アリエル・バーガー「エリ・ヴィーゼルの教室から」

たいへん読み応えのある興味深い内容であるが、正直に言えば、わたしには本当のところは理解できていない。70年も生きてきて、大していいこともなかった人生だなと振り返るが、エリ・ヴィーゼル氏のような過酷な体験を味わいながらも、宗教家として、作家として、教育者として世界に貢献し続ける、そんな前向きで明るい姿に、我が身が恥ずかしくなる。 ボ…
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クレイトン・M・クリステンセン「繁栄のパラドクス  -絶望を希望に変えるイノベーションの経済学-」

イノベーションには持続型、効率化、市場創造型の三種類ある。「持続型イノベーションとは市場にすでに存在する解決策の改良」であり、効率化イノベーションは、「企業がより少ない資源でより多くのことを行えるようにするイノベーション」である。「どちらも経済の競争力と活力を維持し、将来の投資に必要なキャッシュを増やすものの」、「成長エンジンの種蒔きは…
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雨宮処凛「この国の不寛容の果てに」

2016.7.26 に相模原障害者施設、津久井やまゆり園で起こった障害者殺傷事件は、それ自体たいへん衝撃的な事件だったが、その犯人の植松聖被告の犯行の動機が、更に驚愕のものだった。日本の莫大な借金を減らすためにも、生きる価値のない障害者、生きていても不幸しか生まない障害者を殺すことは正しいことだと。 この障害者に対する驚くべき不寛…
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ミシェル・ウエルベック「セロトニン」

48歳のフロラン=クロード・ラブルストは抗鬱剤のキャプトリクスを欠かすことが出来ない。キャプトリクスは次世代の抗鬱剤でセロトニンの分泌を促進するという。この薬はたぶん作者のフィクションだろう。セロトニンが吸収され減少するのを阻害する薬はあるが、分泌を増やす薬は効いたことがない。できたらよく売れるだろうが、副作用が性的不能という(小説の都…
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韓国ドラマ「空から降る一億の星」

「空から降る一億の星」という覚えにくいタイトルの韓国ドラマ、なかなかよくできたラブ・ストーリーだった。  短くも哀しく燃える。 韓国ドラマには、よく悲しい子供時代の記憶を引きずっていく人生を描くものが多い。 失われている記憶をとりもどしてゆくドラマもまたよくあるパターンだ。 取り戻した後はたいていはハッピーエンドにつながるのだが・…
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西野瑠美子・小野沢あかね「日本人「慰安婦」」

「慰安婦」(Comfort Woman)は、実は固有名詞で日本軍従軍慰安婦を意味する言葉と読んだことがある。「性奴隷」と呼ぶ方が一般なんだと。 そんな「慰安婦」の話題は、朝鮮人慰安婦が多い。それは、90年代に、日本政府がその存在を否定したから怒りで告白した韓国人女性が現れたからだ。それから次々と名乗りを上げる人が現れた。「慰安婦」は、日…
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韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター 私のおじさん」は素晴らしい

韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター 私のおじさん」は素晴らしい。 大好きな IU主演ということで見始めただけなのだが・・・ちなみに、IUは歌手としてよりも俳優の方がいい 最初はなんて暗いドラマなんだろうと思ったが、いろいろ惹きつけられた。主人公のプロファイルをみればその暗さがわかる。 ・イ・ジアン(IU)・・・人を殺し…
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三谷太一郎「近代と現代の間 三谷太一郎対談集」

東大の政治学者である三谷氏は、学者らしい学者だ。日本の近現代の政治史についての対談を記録している。三谷氏自身の政治的主張はもちろん主題ではないが、ところどころにその片鱗がうかがわれる。しごく真っ当な見解だ。 なかでも、こんな発言が印象的だ。「安倍政権について私が一番気に掛かっているのは、今樋口さんが言われたように戦前・戦中の多くの国民の…
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チョ・セヒ「こびとが打ち上げた小さなボール」

なかなか独自の雰囲気を持った、寓話的な物語だなと感じつつ読み進めていたら、この小説は最近創作されたものではなく、70年代後半に書かれたもので、それも有名なロングベストセラー作品と知って、寓話などではなく、きわめてリアルな物語なんだと理解した。 しかしリアルな物語をリアルには描くことは70年代、80年代にはできなかった。軍事独裁政権は反体…
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丸山ゴンザレス「世界の危険思想」

この方は初めて知った。 観光客があまり行かないところ、それもヤバいところを旅しているジャーナリストのようだ。それでヤバい人々についての知識が豊富なのだろう。 世界の「危険思想」とあるので、レイシズムやナチズムや優生思想、極右・極左思想などが解説されているのかと思いきや、ヤバい人々の頭の中を探るという意味らしい。  ヤバい人々とは、…
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荻上チキ「検証 東日本大震災の流言・デマ」

読後、とくに印象に残ることもなかったけれども、流言・デマがこれほどたくさんあるのには、あらためて驚きだ。それらは、SNS等で収集して分析したもので、現地調査したりしたものではない。 だから流言・デマの発信元にその理由を調べるには至っていない。 東日本大震災では、後続の大地震が発生するとか、石油火災で有毒な雨が降るとか、埼玉の水道水…
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映画「天命の城」

朝鮮が清に服属する最初の出来事、「三田渡の盟約」の経緯を描く歴史ドラマ。頼りなく死を恐れ、自身が生きながら得ることを願う王仁祖、たとえ死んでも大義ある王と国家であるべく王を導くのが臣下の道だと信ずる大臣キム・サンホン、そして、どんなに屈辱的であっても民の生命を守るのが王の道だと考える大臣チェ・ミョンギル、三人と宮廷の流儀しか知らない官僚…
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映画「ファースト・コンタクト」

B級と言ったら失礼かもしれないが、B級SF映画かもしれない映画だけれども、その出来に感心して、楽しんだ。 ドキュメンタリー映画のようにインタビューを繰り返して、経緯を語って行く。  明らかに、異世界のものと思われるワームホールのようなモノがやってきて、同時に、巨大な黒い球が地球上各地に出現した。無人機ではよくわからず、人間の飛行士…
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山崎雅弘「沈黙の子どもたち」

目次にあるように、日本軍の大量殺害事例として、日中戦争における上海から南京事件、シンガポール占領後の華僑殺害、沖縄戦のさなかにおける自国民(沖縄住民)の殺害を挙げ、ドイツ軍とナチの事例として、スペイン内乱のゲルニカ空爆、アウシュヴィッツ、ハイドリヒ暗殺の報復にチェコ・リディツェ村の殲滅が挙げられている。そして最後は、米軍の広島・長崎だ。…
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エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」

エトガル・ケレットという、イスラエルの作家。多分私には初めての体験となるが、なかなか機知とユーモアに富んだ、しかもなかなか卓越したストーリー・テラーでもある。母親の故郷でもあるポーランドで訳書が結構ヒットしたのがうれしいとも語っているように、ホロコーストの歴史や中東戦争の体験がいまも脈々と生活の中に息づいている。 息子レヴの誕生か…
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映画「アダムズ・アップル」

刑務所から出て、更生プログラムの一環で田舎の教会に送られた男が、奇妙な聖職者たちと出会い、反発しながら、戸惑いながら暮らすうちにいくつかのまるで奇蹟のような出来事で変わって行く、そんな寓話のような、カルトムービーのような、変なブラック・コメディ映画だった。 アダム(ウルリク・トムセン)は札付きのワルにしてネオナチ、迎えた牧師イヴァ…
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映画「ジョーカー」

恥ずかしながら、途中までバットマンのジョーカーの物語だと気付かなかった。ゴッサムの街の名やあまりに汚い町の様相に首を傾げはじめ。トーマス・ウェインの息子、ブルースが出てきて、なんだ、あのジョーカーかと分かったとたん、緊張感が一気に溶けて、アメコミ映画の軽い気分が少し湧いてきた。それほどにシリアス・ドラマのような緊迫感があって、アメコミに…
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世宗大学独島総合研究所・保坂祐二編「文書・証言による日本軍「慰安婦」強制連行」

興味深いという言葉は不謹慎かもしれぬが、慰安婦を朝鮮半島や日本内地から、満州、中国、東南アジアに送るために、内務省や警察と軍とが、知恵を絞っているのが、たいへん官僚的で興味深い。内務省や警察などは、あきらかに国際条約違反や皇軍の評判や権威を落とさぬよう、内務省は無関係というスタンスをとれるよう、いろいろな手続きを定め実視させようとする。…
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山内昌之・細谷雄一編「日本近現代史講義」

自民党の「歴史を学び未来を考える本部」、いわゆる歴史本部で三年にわたって講義した内容をもとにしているらしい。それを「あとかき」で知って、なーるほど思った。どことなく史料の出所が、ウン?と思うところがあった。田母神氏だったり林房雄氏だったり。 たが、そうと知っても、内容が極度に偏向していたとは思えない。それは、私に判断評価できるほどの歴史…
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キム・スヒョン「私は私のままで生きることにした」

キム・スヒョンはイラストレーターにして作家。 この本は韓国で60万部を超えるベストセラーになった、読めば読むほど、韓国社会で生きることの過酷さを感じる。こんな文章が端的に表している。  「画一的な社会の姿は、ひとつの答えだけを追い求める  個人の姿に引き継がれた  だから私たちの社会では、体脂肪は17%、  体重は48kgで…
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映画「ゴールデンスランバー」

誰もが好きなビートルズの曲を私も好きだが、なかでも "Golden Slumbers" から "Carry That Weight" がいちばん好きだ。それもけっこう秘めた恋のように密かなものだ。もし、"White Album"の"Julia"が好きだなんて言うとしたら、それは、ここまで知っているというだけの見栄にすぎないが、"Go…
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窪美澄「トリニティ」

1960年代に仕事をし始めた女三人、登紀子は恵まれた物書き女三代の豊かな暮らしの家で育ち、母親のつてでライターになったがそれなりの才能で自分の境地を切り開いた。妙子は岡山の田舎で棄てられた子として貧しい養親に育てられたが、迎えにきた母と中学卒業後東京に出て、母と二人の貧しい生活ながらも美大卒業前に飛び込みで売り込んだ先で認められ、イラス…
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澤田瞳子「日輪の賦」

澤田瞳子氏の二冊目の本は、友人のお薦めの、この本。たいへん面白く、よくできた物語小説だと感心する。前回の「落花」が平将門が活躍する平安後期、今回は大宝律令がつくられた時代だ。ロマンあふるる古代史の物語と言えばひどく陳腐な物言いだが、豪族の集合体から律令を基にした中央集権国家、倭から日本、大王(おおきみ)から天皇という、新たな国づくりに燃…
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映画「マレフィセント2」

「アイ・アム・サム」のブランコのシーンから、娘のように可愛がり、娘の学芸会には必ず行くように、可能な限り全作品を見続けているエル・ファニングの最新作。「エルちゃん」のために見に来ているので、他の俳優ならあまり見る気がしないジャンルの映画ではある。もう二十歳を過ぎたエルだが、相変わらず愛らしく、オーロラ姫の風格よりも妖精たちの姉さんと言っ…
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映画「イエスタデイ」

払っても払っても晴れない霧がたちこめ、不安や恐れなどで気がめいり沈んでいた。さすがに気がついたカミさんが「エルちゃんの映画でも見に行ったら」と言うので、そうだ、エルちゃんの「マレフィセント2」を見に行こうと思い立って映画館に来たが、「マレフィセント2」は必ず見るとしても、「イエスタデイ」は結構楽しそうで2時間過ごせるかなと、こちらを選ん…
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中塚明「近代日本と朝鮮 第三版」

日本と朝鮮半島とのかかわりについて、かなり詳細に記述されている。若干、言葉遣いと視点にイデオロギーの香りを感じるが、内容は史料に基づく出来事の記載が中心だから、記述の信頼性は高いのだろう。ななめ読みでもよいから、この程度の内容は日本人ならみな、高校生程度で学ぶべきだろうと心からそう思う。歴史教育はここまでやらないと、まともな前進はできま…
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映画「ボーダー 二つの世界」

「ぼくのエリ 200歳の少女」はすばらしく抒情的で美しい映像の素晴らしい映画だった。 同じ原作者の映画ということで期待したが、なかなか複雑な思いだ。基本的に映画には楽しさと美しさをまず求める私には、ちょっと好きになれない映画だ。 しかし、スウェーデンの森の中で起こる、神話のような、民話のような話は、興味深いことは確かだ。 恥じらい…
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松尾匡(ただす)「反緊縮宣言」は必読本

ギリシャのバルファキス、アメリカのバーニー・サンダースとオカシオ・コルテス、そして日本の山本太郎が訴える経済政策を理論的に支える経済学であり、運動である「反緊縮」を、様々な角度から分かりやすく解説している。率直に言って、なんでもっと早く出版されなかったのか、これほど多くの人が読むべき本なのになぜ図書館の予約がほとんどないのか、そんなやり…
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日野行介「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」

日野行介氏は原発事故の後のジャーナリストとしての活動が際だっているが、311当時は大阪から来た援軍だったらしい。福島県の県民健康管理調査は、事故後の被曝による健康への影響を測定し、もしあれば極力影響を防ぐ措置が望まれる、たいへん重要な事業だ。原発事故の経験としては、広島・長崎を別にすればチェルノブイリしかないわけで、福島の事故後の状況を…
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吉川徹「分断社会と若者の今」

社会学という学問は、領域によっては、どうも好きになれないところがある。学問としては、論の証明や根拠が必要であって、社会意識については、アンケートのような方法がよくつかわれる。その数字をもとに多変量解析などで分析される。しかし、いわゆる社会調査などの質問や回答の選択肢には、どうしても曖昧さが免れず、曖昧な結果を集めて解析しても誤差が大きい…
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