映画「スイング・ステート」

原題の"IRRESISTIBLE"とは、この映画で、どういう意味を持つのだろう。 RURAL AMERICAと呼ばれる、米国ハートランドのウィスコンシン州、アカい州でもあり、スイング・ステート(激戦州)でもある。その田舎町で町長に対して異議申し立てをした元大佐のスピーチは、いかにも民主党的な言葉に溢れていた。その映像を紹介された民主党の…
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大塚英志「大東亜共栄圏のクールジャパン」

「クールジャパン」はロクでもない理由で日本すごいと自画自賛する動きのことだ。大東亜共栄圏でもクールジャパンといえるような、いわゆる「文化工作」が行われていた。たいへん詳細な資料で解説されている。あまりに詳しすぎてそのまま記憶にとどめられないが、多くの著名な漫画家、映画人、作家・・・が国策に従って、国家宣伝や戦争に協力していた姿を知ること…
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映画「MINAMATA―ミナマタ― 」

アメリカの写真家、ユージン・スミス氏の水俣来訪から多くの多くの「作品」を撮り、ライフで世界に伝えるまでの、「true events」に基づいた物語。「true events」という言い回しはあまり目にしないが、どのていどのフィクションなのかがあまりわからない。想像で物を言えば、スミス氏が撮影した有名な写真の数々は、もちろん事実だとしても…
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映画「偽りの隣人 ある諜報員の告白」

韓国映画のほのぼのとしたコメディの良さと、独裁政権に打ち勝った民主主義の根っこを感じさせる、なかなか良い映画だ。 一見、史実に即した物語のように勘違いしてしまうほどだが、全くのフィクションだ。 軍事政権下、外国から帰国した民主派の大統領候補イ・ウィシク(オ・ダルス)を自宅軟禁し、海外に出国させようと計る情報機関、国家安全政策部のキ…
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坂上香「プリズン・サークル」

冒頭、坂上氏はカロリン・エムケを引用して語る。「たとえどんなに絶望的で、凄まじい体験をしようと、「それでも語る」ことの重要性をエムケは説く。他者に打ち明ける/伝えるという行為が、「非人間化された状態」から「回復」という名の道に誘い、当事者の人間的な成長をも促す可能性があるからだ」。 この「自分のことを語」り、他者の話に耳をかたむけ…
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映画「復活の日」

まだ若い時に、小松左京の作品はほとんど全部読んだ。 「果てしなき流れの果てに」などは、映画「インターステラー」の原流本じゃないかと思うほどに傑作だし、「地には平和を」「霧が晴れたとき」「O」「日本アパッチ族」「首都消失」「エスパイ」なども、一流のSF作品だった記憶がある(もうずいぶん内容を忘れてしまったが)。 「復活の日」は、小松左京の…
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映画「天使のくれた時間」

邦題がしゃれているからいい映画に見える。 しかしなんとなく最後の結末が釈然としない。やはり男尊女卑時代の名残りの映画ではないのかな。男が家庭に戻ろうとしたとき、女が自分の人生に挑戦するのを妨害しているようなものだ。男は勝手に自分の挑戦をしたあと思い直したからと言って、女に挑戦をやめるよう要求することになるのは、なんだか不公平な感じだ。 …
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韓国ドラマ「明日も晴れ」

一話30分で121回連続ドラマという、普通は見ない長いドラマであるが、ついつい録画してみては消し、を繰り返して最後まで見てしまった。 韓国ドラマの伝統的要素がたっぷり含まれたホームドラマである。・・・ 子どもの時に実の親と離別する、記憶喪失で実の親のことがわからない、実の親は裕福な家で会社の代表ある、その家には、食客のような親族がいてそ…
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映画「TOVE/トーベ」

ムーミンのトーベ・ヤンソン、その半生を描く。「ピッピ」のアストリッド・リンドクレーンにしろ、このトーベ・ヤンソンにしろ、子ども向けの童話作家だからと言ってその人生が子どものような純なものではない。それどころか、波乱万丈、もっとも童話の世界から遠いところにいるような人だ。不思議なことだ。 父親が厳格で保守的で頑固な彫刻家、トーベ(ア…
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エマニュエル・トッド「第三次世界大戦はもう始まっている」

エマニュエル・トッド氏は、私の最も信頼する論客の一人である。ウクライナ戦争については独自の視点があり、アメリカとヨーロッパの激しいプロパガンダにもかかわらず、「この戦争は、「ウクライナの中立化」という当初からのロシアの要請を西側が受け入れていれば、容易に避けることができた戦争でした」という。私も、プーチンは悪いには悪いが、元凶はアメリカ…
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韓国ドラマ「模範タクシー」

まんがのようなドラマだと思ったら、ほんとうに韓国のWebマンガをドラマ化したものという。証拠不十分とか、権力の介入とか、法によっては裁けない犯罪者を被害者に代わって復讐を成し遂げる、復讐代行人の物語。 韓国ドラマには、復讐をテーマにしたものが少なくない。復讐したいと日頃から思っている視聴者が多いのかもしれない。復讐劇はうまく行くとスカッ…
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映画「ブラックバード 家族が家族であるうちに」

海辺の一軒の家に、家族が集まった。 リリー(スーザン・サランドン)は難病の苦しみを避けるため安楽死を決意して、最後の日々を家族と過ごすためだった。なにごとにも厳格な長女のジェニファー(ケイト・ウィンスレット)は、母親の意思を尊重しつつも、妹アナ(ミア・ワシコウスカ)の強い反対にあうとそれに引きずられてしまう。 スーザン・サランドン…
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映画「12番目の容疑者」

一幕物の演劇のような映画だ。 朝鮮戦争休戦直後のソウル、芸術家がたむろする喫茶店に、国家情報部門の男が入ってきた。 喫茶店常連の男と女学生について問いただすのが目的だった。そのうち、二人とも殺されていたと分かり、犯人探しが集まる。 店主は、警察でもない情報部門の男が、なぜ殺人事件の捜査をするのかと、不審におもい、問いただす。男は、「アカ…
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映画「善き人のためのソナタ」

壁崩壊前の東ベルリンで、シュタージのヴィースラーは真面目に勤務して上官の信頼も厚かった。反政府的と見られていた劇作家ドライマンのアパートに盗聴機器を仕掛け、屋根裏部屋のようなところで監視を始めた。愛人の女優クリスタとの愛や、芸術家仲間の議論を盗聴するうちに徐々に親近感を覚えてしまう。そして、ドライマンがピアノで弾いた「善き人のためのソナ…
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伊藤亜紗編「「利他」とは何か」

2020年2月、東工大に「未来の人類研究センター」が設立され、そこで「利他プロジェクト」なる研究グループがつくられた。中島岳志氏が中心となり、研究を重ねていて、この書はその一環かもしれない。 中島岳志氏は、あとがきで、こんなまとめをしている。 五人のそれぞれ異なる分野の人にもかかわらず、「利他をめぐって共通する人間観に行き着きまし…
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伊東順子「韓国カルチャー 隣人の素顔と現在」

韓国、 隣人の素顔と現在 を、映画、ドラマ、小説などを素材として、語っている。 全部ではないが、良く知る映画やドラマ、小説も少なくないので、たいへん身近な話題で、再認識したことがおおい。 韓国社会の、競争と格差の激しさ、女性の生きにくさ、不動産の格差と仕組みのむずかしさ・・・など様々な問題がありながら、それでも、民主主義を着実に身につ…
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李龍徳「あなたが私を竹槍で突き殺す前に」

なんともセンセーショナルなタイトルに魅かれて手に取る。当然、タイトルの連想から関東大震災の朝鮮人虐殺に関係している小説と思った。果たして、近未来のディストピア日本、いや、十分現実にあり得る日本、その中で繰り広げられる、在日朝鮮人たちへの排外主義行動と、それに対する抵抗を描いている。 初の女性首相は同性婚を合法化した李、選択的夫婦別…
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映画「告白」

「GO BACK」なかなか拾い物の映画だった。 何かと前のめりで施設の子どもを守ろうとして、児童を虐待する父親と衝突する福祉士のオスン(パク・ハソン)と、正義感が強く、黙っていられないからぶつかりやすい交番勤務の女性警官ジウォン(ハ・ユンギョン)との、似たような二人。 ある朝、ジョギング中のジウォンは、公園で、オスンに出会うが、何か問題…
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新藤宗幸「権力にゆがむ専門知」

学術会議任命拒否問題に端を発した、政権と専門知との緊張関係、筆者は、戦後の政権と官僚組織の推移を概観しながら、専門知の「利用」のされ方について言及している。 敗戦直後の専門知はGHQが米国から呼び寄せた。 独立後は、官僚組織そのものが専門知となり、かつ官僚組織がイデオロギーを考慮することなく学界に求めていた。大きく変わったのは、中…
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小田嶋隆「東京四次元紀行」

小田嶋隆氏は、今年6月24日に病気で亡くなった。 リベラルなコラムニストとして、私も好きだったけれど、この短編集が最初で最後の小説となった。 ご本人は、小説を書くことが願望だったという。 あとがきで、こんなことを記していた。 「自分で書いてみると、小説は、読むことよりも書くことの方が断然楽しいジャンルの文章だと思うようになった。登…
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金子文子「何が私をこうさせたか」

関東大震災の混乱の中、金子文子は、朴烈とともに逮捕され、皇族への暗殺計画の疑いで死刑判決を受けながら恩赦によって終身刑とされた。獄中で書いた手記を、仲間が校正して一冊の本にした。 それがこの本である。 なんともすさまじい人生だ。「何がわたしをこうさせたか」、それについて彼女はとくに語らず、ひたすら、生きてきた敬意のみを告げ、読者に…
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映画「DUNE/デューン 砂の惑星」

業界ではあまり評判のよくなかったデヴィッド・リンチの「砂の惑星」は、私は結構好きだった。 だから、前評判の高い、しかも「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だというので、ずいぶん期待したものだ。 確かに映像は美しかった。 でも、なんでこんなにゆっくりと進行するのと不思議に思っているうちに終わってしまった。どうやら、前後編、いやひょっと…
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映画「オールド」

M・ナイト・シャマラン監督といえば、「シックス・センス」と、自分も必ずどこかのシーンで出演する監督、ということで有名だが、いつまでたっても、「シックス・センス」の監督と言われるのは、本人も忸怩たる思いがあるだろうが、「シックス・センス」を超える映画はなかなか現れない。 離婚直前、最後の家族旅行として、美しいビーチのあるリゾート地を…
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筧裕介「認知症世界の歩き方」

旅行案内書「地球の歩き方」にならって、認知症世界を旅するとしたら、どんな世界の旅になるか、なかなか工夫に富んだ、面白い本だ。 記憶、五感、時間・空間、注意・手続きのトラブルに分けて、13のストーリーで認知症のトラブルを説明している。さらに、それぞれについて心身機能障害を詳しく述べ、44の障害について説明している。 例えば、記…
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酒井隆史「ブルシット・ジョブの謎」

人類学者デヴィッド・グレーバーの「ブルシット・ジョブ ― クソどうでもいい仕事の理論」(2018)は、400頁を超える分厚い、大型本で、過剰なまでの饒舌さに、読み続けることをギブアップした本である。その解説本にあたるこの書も、読みごたえのある本で、解説本などと軽く見てはいけなかった。何よりも筆者の日本社会に対する視座が、私にはとても真っ…
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磯野真穂「他者と生きる」

短いパラグラフ、短い文章、論理的な説明・・・たいへん分かりやすく読める文章なのに、なぜかよくわからないのは、あまりに哲学的な内容だからなのかもしれない。 読み進めていくうちに二つの感覚があるとわかる。ひとつは、頭にいったんは入るが、すぐに掻き消えてゆく、つまり、忘れてしまうという悲しく残念な感覚で、もうひとつは、この突き詰めた感覚…
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ブレイディみかこ「他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ」

前作「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」のなかで少し触れた「エンパシー」という言葉が予想外に話題になった。訳語「共感」に違和感を感じていた人びとが歓迎してくれたのかもしれない。「共感」ではない他者理解、自分の靴を脱いで他者の靴を履いてみる、そういう思索を重ねてみる・・・というのが、この本を作った動機らしい。 ブレイディみ…
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西加奈子「夜が明ける」

読むのが辛い小説は少なくないが、この「夜が明ける」もかなり辛い。途中で読みづらくなり中断をなんどもする。 「俺」、「アキ」こと深沢曉の二人の高校の同級生の、「貧困」と、いわゆる自己責任、誰にも持ってゆくことのできない、助けてとも言えない、苦しさに苛まれてゆく姿が続く。 「アキ」は物心ついたころからの母親との二人の貧困生活と虐待、「俺」は…
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韓国ドラマ「アリス-運命のタイムトラベル-」

最近の韓国ドラマは、なぜか、タイムトラベルやパラレルワールドなど、時空を超えるストーリーが多い。 しかし、この「アリス」は、ちょっと凝り過ぎだろうという気がする。 タイムトラベルで自分と出逢ってはいけないという不文律?はすっかり無視されていて、ひどいのは過去の自分を殺して、そのまま居座る人がいる。そして、話がどんどん複雑になって、結末も…
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韓国ドラマ「復讐せよ ~あなたの恨み晴らします~」

「復讐」は、毒々しい韓国ドラマ特有の一大テーマだけれども、このドラマは主人公がDVで卑劣な元夫や財閥会長らに復讐を果たすだけでなく、大企業などに痛めつけられた人の復讐を手助け、請け合って、復讐チャンネルと呼ぶインターネット配信で公開してゆく、といった、結構「前向きな」物語でもある。 夫によって仕掛けられた不倫スキャンダルによって、…
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