米澤穂信「満願」

「王とサーカス」などの太刀洗万智シリーズの作者、米澤穂信氏の本は3冊目になる。 推理小説風の古典的な組み立ての小説は、格別の傑作ではないが、気楽に、安心して読める。純粋にエンターテインメントだ。

6つの短編、どれも甲乙つけがたい。

米澤穂信「満願」(新潮社2014.3.20)
夜警
死人宿
柘榴
万灯
関守
満願


夜警
新人の巡査川藤は、誰が見ても危ない男だった。ちょっとしたトラブルでもすぐ銃に手をかけようとする。銃が好きで警官になった男だ。 亭主が嫉妬でナイフを持って怖いと交番に訪ねてきた女がいた・・・・。

死人宿
突然去った恋人佐和子は、山の中の隠れ温泉宿に仲居として働いていた。 そこは川原の源泉から流れる有毒ガスのため自殺者が絶えないという宿だった。駆け付けた私に、佐和子はある協力を依頼してきた・・・・

柘榴
生まれつき類まれな美しさを誇ってきた私は、大学で誰よりももてた男佐原成海を射止めた。父はあの男はだめだと止めたが反対を押し切った。そして、美しい娘、夕子と月子が成長した頃、生活力のない夫と離婚しようと決めた・・・・

万灯
インドネシアの資源開発で経験を積み、バングラデシユの天然ガス開発に携わり始めた私。商社で無能な上司は飛ばし、きっちり仕事をしてきた。独身で家族とも疎遠だから日本に帰る必要もなかった。 
バングラデシュの族長は、絶対に資源は渡さないし、この土地を他国に貸すことはないと拒絶された。常に勝ってきた自分がそれで終われるはずがない。そんなときに、村から一通の手紙が来た・・・・

関守
都市伝説の軽い本を作るというので依頼された私は、先輩のネタをいただいて、伊豆の山奥にやってきた。 毎年同じ場所で交通事故が発生して死者が出ているという。 なにか峠に分けがあるのではないか、それも都市伝説になるような材料がないかと、ドライブインに居た婆さんに取材をした・・・

満願
酒と遊びで家業の畳屋を潰しかけている鵜川の家に下宿していた私は、司法試験の準備に余念がなかった。家は漁師で金はなかったから贅沢は言えなかった。亭主はひどく感じの悪い男だったが、奥さんの妙子さんは良家の出らしく美しく親切で、貧乏学生を相手によくしてくれた。ただ一つの宝物が実家の家宝だという掛け軸だった。・・・

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