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zoom RSS 神山典士「成功する里山ビジネス ダウンシフトという選択」

<<   作成日時 : 2017/10/19 11:59   >>

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「成功する里山ビジネス」という印象とはだいぶ違う。 なんで「里山ビジネス」という題をつけたのだろう。 人口減少社会の「下山の時代」に、中央からではなく地方から、人々の生活と社会を変えてゆく、そういう先駆者たちを追ったドキュメントだ。 

「下山の時代」を端的に表現するのは、先駆者の一人が語る次の言葉だろう。 「時代の潮流は「高度成長、大量生産大量消費、使い捨て」の時代から「持続可能な循環型の社会」に向かおうとしている。 「ファースト」より「スロー」に、「量や規模」より「質、本物」に価値が置き換わる。 「都市集中、グローバル」の構造から「自律分散型」に、「画一性」は「多様性」に向かう。「詰め込み教育、偏差値志向」の教育は、「生きる力、人間力志向」となるだろう」

しかし、私には、どうも、この流れは正しいとしても、中央政府の指向は違うような気がする。 
中央政府の頭には、地方を切り捨てても、中央に向かっているような気がしてならない。

各地の活動は、立派だ。 すごいとしか言えない。 

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小布施の街には、葛飾北斎の記憶がある。 北斎の記念館と街の風景を一体化させていたし、「町内の至る所に、「Welcome to My Garden」の標識もある」 町の美しさに住民はかなり気を使っていた。 敢行の街は、北斎だけでなく、国際会議などを仕掛けていた。

平田オリザは、地方の小劇場を根城にして質の高い演劇を作り上げてきた。土地の若者たちの演劇指導を通じてまちづくりの活動になっていった。そこに必要な「自己肯定感を引き出す、広い意味での文化政策とハイセンスなイメージづくりが必要だ」と。 

新潟市岩室温泉の古民家に移住してコメ作りに勤しみながら、「食べる通信」リーグに参加、その新潟版で消者と生産者とのコミュニティをつくる。 よそ者の移住者が住民の気づかない魅力を発信する、「この地には美味しい農作物、果物、美味しい農家ご飯、海や山の大自然など、魅力がたくさかあります。都会と田舎をかきまぜたら、もっともっと付加価値が生まれてくる」と。

小豆島の2010年に始まる「瀬戸内国際芸術祭」は住民の自信を回復させた。「島の外の人を呼び込むには、地元の祭りだけでなく楽しいことが必要でした。 それがアートです」と町長は確信する。 内容も、上からでなく、小学校の区単位にアートプロジェクトを展開する草の根の活動だ。

北九州津屋崎では、この町を真剣に愛する人だけ移住してきてほしいと、地域に入り込んでニーズを汲み上げ、コミュニティ・デザインをワークショップを重ねながらプロジェクトにしてゆく取り組が続く。 ここでは、月10万を稼げる仕事をいくつかやれば暮らしていけるのだ。 

池袋でダウンシフターズが集うバーを営みつつ、千葉の匝瑳市に移住、農業生活を送る高坂氏は、多くの移住者を支援してきた。 賛同者の思いには、我が子に向けて、「この子に残してあげられるのはお金ではなく生きる技術、食べ物を生み出す知恵」という。 それは確かにそうかもしれないとおもう。

島根県隠岐郡海士町で社団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」を立ち上げ、「学校魅力化・地域活性化」の流れを教育界からの革命として広めようとしている。 中身は「新たな縁結び」、つまり、学校と地域住民と行政を縁結びして地域ぐるみで子どもを育てる策だ。 「東京に行けば金(補助金、助成金)はもらえるが「解」はない。海士町には解がある」と自信を持っている。

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読み進めていくうちに、ひどく疲れを感じる。 とにかく、各地で活動する人々がみな熱いのだ。 
どちらかと言えばヒネクレ者の私には、こんなに熱く、強い想いの人々の話は、まぶしすぎる。 移住し、まちづくりを草の根からリードし、移住者たちと住民たちと自治体とをつなげてゆく人たち。 
天性のオルガナイザーであり生活者である人々。

だから筆者の話も、先駆者たちの人となりや経歴を書かざるを得ない。 私にしてみれば、彼らがどんな人であっても、何をしたのかという、施策を説明してくれればよいのだが、結局、どんな人なのかがストーリーの中心になってしまう。 もちろん、人が大事なのはわかるが、それは、しかし、それでは、結局、地域の物語ではなく、人の、リーダーの物語ではないか。 

結局、当たり前かもしれないが、この世界も、属人的ということなのだろう。
そりゃそうだ。 地域のいろんな人とやり取りしなければならないのだもの、人がすべてなのはあたりまえだ。



ひとつ、面白い言葉があった。

移住に関して生まれた言葉・・・複業・マルチワーカー、跡継ぎのいない地場の仕事に跡継ぎを募集・育成する継業、都会と稲井の両方で生活するデュアルライフ、積極的下層市民・ダウンシフターズ、嫁の意見を中心にして移住地を決める嫁移住、孫が祖父母の住む田舎に行く孫移住、都市と田舎を行き来する平成の参勤交代、・・・

そして、土地の本音もあった。

「移住者は、当初は調子のいいことを言っていても、挨拶もなく突然都会に戻ってしまうことがある。地方に住みたくて地元の男性と結婚した女性が、ある日突然離婚して家を出てしまったケースもあった。地方の人にしてみたら、都会人を信用したら裏切られる。移住なんて気の迷いじゃないかと思う。こんな田舎に来るやつの気が知れない―それが本音なのだ」

プロジェクトの判定基準は、とても、示唆に富んでいる。
 ・平凡な持続可能なことにこそ普遍性がある。 
 ・一つ目は100年前の人にそのことを言って共感してもらえるか
 ・二つ目は100年後の人にそのことを言って共感してもらえるか
 ・三つめは余所の国の人にはそのことを言って共感をしてもらえるか




神山典士「成功する里山ビジネス ダウンシフトという選択」(角川新書2017.7.10)
まえがき 下山の時代を明るく逞しく生きる
第一章 地域資源を経済化する ―小布施町と葛飾北斎と一人出版社
第二章 課題あるところにビジネスが生まれる ―課題先進国の文化戦略・平田オリザの下山的生き方
第三章 移住という選択 価値をずらす、再発見する ―移住者が新しい価値を創出する新潟県岩室温泉
第四章 みみずの視点の町おこし 複葉、継業、プチ起業 ―地中を深く掘り返す「みみず」。仕事を掛け持ち、継ぎ、起こす
第五章 懐かしい未来を先取りした町 ―瀬戸内国際芸術祭と小豆島。町の高齢者が変わった
第六章 積極的下層市民の誕生 ―経済よりも子育て、生き甲斐、誇りを優先する人々
第七章 辺境からの革命 地方から中央へのイノベーション ―島根県隠岐郡海士町に集まる人材、若さ、エネルギー
あとがき 課題の見える化と自己決定力

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