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zoom RSS 伊勢崎賢治・布施祐仁「主権なき平和国家」

<<   作成日時 : 2018/10/01 14:50   >>

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地位協定の国際比較をすることによって、現行の日米地位協定が、いかに異常で、日本の主権を侵しているか、明らかにしている。

協定の詳細について記せるほど、読後の記憶が鮮明ではないが、トピック的に記す。

刑事裁判権について

「もっぱら派遣国の財産・安全や派遣国の軍人・軍属らの身体・財産のみに対する犯罪」および「公務執行中の犯罪」について、アメリカが優先であって、日本が裁判権を行使できるのは、アメリカ側が裁判権を放棄するか、または行使しなかった場合に限られる。 これは属地主義の例外で、米英の知恵でつくり、NATOにも採用されたそ協定。 

では、公務外はどうか。 これは受入国(日本)に裁判権があり、日本側が犯人の身柄拘束に後れをとって米軍が確保したら、起訴するまで身柄を要求できない。 ということは逮捕・強制捜査できないから起訴もあやしいこととなる。 建前は捜査協力に身柄移転可能だが、現実性がない。 事件に接して沖縄県民の怒りにより、起訴前の身柄引き渡しもできるようになった、ただし、殺人と強姦に限られていて、さらに、「アメリカ側が「好意的な考慮を払う」としている」、「その他の犯罪については、日本側の見解を「十分に考慮する」と書かれているだけです」。実際、強姦容疑で摘発された米兵35人中、八割強にあたる30人が逮捕されていない。

日本は、「実際には、国民には秘密にして重要事件以外は第一次裁判権を行使するつもりがないとアメリカ側に約束していたのです」。 、

韓国では、起訴ルールの変更を要求し、12種の犯罪で身柄引き渡しが現実的に可能になっている。

外務省のホームページには、「一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、日本に駐留する米軍についても同様です」と上げられている。 アメリカが「特権は例外」といっているものを、日本は「特権は当たり前」という。そういわなければ説明がつかないほど、日米地位協定が米軍に広範な特権を与えている



基地管理権について

基地内は米軍だが、基地外の事件・事故に対しては日本側が警察権を行使すると、地位協定にはうたわれている。  しかし、地位協定の合意議事録で、日本は、「米軍の財産に関して捜索、差し押さえ、検証を行う権利を「放棄することを認めてしまっています。これがあるために、日本の捜査機関は、アメリカ側の同意がなければ墜落した事故機を捜査することができないのです」。

オスプレイの事故対応、事故後の訓練再開なども、「日本政府は米軍に対して、すべて受け身の対応しかとっていません。 イギリスやイタリアでは事故の調査にイギリス軍やイタリア軍も関与しますが、日本は「米軍任せ」です。自国の捜査機関の捜査を拒まれても抗議もせず、事故を起こした側による一方的な調査と説明で、「理解できる」と評価する政府がどこにあるでしょうか」

よく事故が発生して問題になる低空飛行訓練についても、「イタリアにおける駐留米軍の行動は、あくまでイタリアの法律と政府が許す範囲内でしか認められていないのです。だから、米軍機の飛行訓練の最低飛行高度をイタリア側で決定できるのです」。  しかし、「驚くべきことに、米軍は日本政府の了解を得ることもなく勝手に日本の空に低空飛行訓練ルートを設定し、パイロットに障害物は「目で見て、避けろ」と命じて訓練を行っていたのです」

日米地位協定第三条「合衆国は、施設および区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」と、「施設・区域について米側が排他的使用権を有していることを意味する」だけでなく、飛行訓練など、「地位協定上、我が国領空においては施設・区域上空でしか行い得ない活動ではない」と、米軍の実体とニーズに合わせて、どこでも可能なように解釈を変更している。



ことほど左様に、日米地位協定は、日本が主権をもってないし、欲してもいないかのような協定だ。 だから、必ずしも九条改憲に反対ではない伊勢崎氏は、主権のない状態で改憲しても仕方なかろうと、鋭い指摘をなさる。

地位協定について、豊富な話題を提供してくれているが、全部を頭に収めるのは至難の業だ。 最後に二つだけ、大きなポイントを挙げておく。 ひとつは、全土基地方式の思わぬマイナス面、もうひとつは国際人道法てある。



全土基地方式について

もともとは、1951.1.26の、 「我々は日本に、我々が望むだけの兵力を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を獲得できるであろうか」、というダレスの要求である。

ロシアにとって、北方領土を返還したら、そこに、ロシアの港の入口に米軍基地ができるかもしれないと考えたら、返還などできない。プーチンは、「日本と米国との間の関係の特別な性格及び米国と日本との間の安全保障条約の枠内における条約上の義務が」を懸念している それは、日米地位協定の「全土基地方式」と言えるものであって、「米側は、我が国の施政下にある領域内であればどこにでも施設・区域の提供を求める権利が認められている」

「「全土基地方式」があるかぎり、ロシアの側からみたら、日本は領土問題の交渉がまともにできる「主権国家」ではないのです。




国連人道法について

「1949年採択のジュネーブ諸条約と1977年採択の追加議定書は、「国際人道法」と呼ばれているものです。かつては、「戦時国際法」「武力紛争法」と呼ばれていました。 戦時下における民間人の保護や捕虜の待遇などを定めた、いわば「戦争のルール」です」。

ルワンダのトラウマから、PKOに「保護する責任」が任務として加わり、武力紛争の当事者になってでも住民を守ることを国連か決断したことから、 「PKO要員も、戦闘員として武力紛争に関与し、武力行使する場合には国際人道法が適用される」。 しかしながら、何かの折に、自衛隊員の行動、「国際人道法違反を国内法廷で裁く法制度を確立していない国は、そもそもPKOに参加する資格はない」、なぜなら、受入国との紛争になりかねないからだ。




最後の最後に、ディック・チェイニーの言葉。 「米軍が日本にいるのは、日本を防衛するためではない。米軍にとって日本駐留の利点は、必要とあれば常に出撃できる前方基地として使用できることである。 しかも日本は米軍駐留経費の75%を負担してくれる。 極東に駐留する米海軍は、米国本土から出撃するより安いコストで配備されている」

なぜそこまで負担するのか・・・。。。。




伊勢崎賢治・布施祐仁「主権なき平和国家」(集英社2017.10.31)
地位協定の国際比較からみる日本の姿
序章 主権にあいまいな国
第一章 刑事裁判権
第二章 基地管理権
第三章 全土基地方式と思いやり予算
第四章 国連PKO地位協定
第五章 日米地位協定改定案





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