リチャード・ベンフィールド「デザインリーダーシップ」

「デザイン会社」におけるリーダーシップ論である。特に前提はないが、推察するに、対象とする組織は、スタートアップから、成長したせいぜい100人規模のデザイン会社を想定しているように見受けられる。 

明確には未だにわからないのだが、対象の「デザイン会社」と従来のソフトウエアハウスとは何が違うのだろう。たぶん違いはないのだろう。しかし、勘定系、座席予約、顧客情報管理、生産管理 ・・・ などの基幹業務に比較して、Webデザインや、スマートフォン・アプリ等を中心に開発している小企業を主な対象としていると推察する。

しかし、開発やプロジェクトの仕事にたぶん大きな違いはないはずで、経験者にはそれほど有益な話題はなく、そんなこと当たり前だろという読み手の反応が想像される。 


筆者は自身もデザインリーダーを経験した後、コンサル業務や著述にあたっている。多くのデザイン・リーダーとのインタビューの結果を含めて記述している。各章のまとめから、筆者の発想が窺われるポイントをいくつか選んでみる。

・「文化は明らかに、デザインビジネスを成功させるために最優先されるべきこと」
・「文化を創造するためには、リーダーが容器を作り、そのなかに適切な人材を入れなければならない。その容器は組織のビジョンと価値観でできている」
・「成功するチームと人々を育成することが、デザインリーダーの最終的な目標である」
・「自分より賢い人を雇用しよう」
・「可能な限り優れたソフトスキルの人を採用し、ハードスキルを訓練しよう」
・「ダイバーシティはチームの知恵と創造性を拡大する」
・「アプレンティスシップはきわめて有益で、費用の掛かるリクルートモデルの代わりになる」
・「成功するオフィスのレイアウトは、オープンとクローズドをうまく組み合わせ、カジュアルなスペースとフォーマルなスペースを備えたものだ」
・「あなたがリーダーなら、第一の顧客はあなたのチームである」
・「個人的な目的と職業上の目的を持つことで、あなたの成長戦略にフォーカスと明晰さが生まれる」
・「仕事のパートナーシップは調和を生むこともあれば、ストレスのもとになることもある。あなたの強みと弱みを補ってくれるパートナーを見つけ、パートナー間のバランスがとれるようにしよう」
・「優れた計画にはまず、明確なビジョン、基本理念、価値観、そして行動ステップが必要である」
・「会社とチームは直線的には成長しない。急成長期とその間の低成長期のための計画を立てよう」
・「失敗が個人的な成長と職業的な成長をもたらす環境を創造しよう」
・「リーダーシップとは、チームの一部と見なされながらリーダーの地位を維持できることだ」
・「成功しているデザインリーダーは、自分自身をチームの最上位のマーケティング&セールス担当者と考えている
・「あらゆるプロジェクトの問題の根底にあるのはコミュニケーションの問題だ。皆がおなじ情報を共有することで過ちを防ぐことができる」
・「事がうまく運ばないときには、契約書は何よりの頼みの綱となる」


まとめに至るまえの興味深いトピック、フレーズには、こんなものがある。

「デザイン業界では、ソフトスキルとはコミュニケーションと対人スキルを意味している」
「インターンシップは無給で、在学中のパートタイム従業員が対象であるのに対して、アプレンティスシップは通常、大学卒業生のためのフルタイムで有給のオプションである」
「謙虚さと学習意欲がカギなのだ。常に学んでいるトップデザインリーダーは行き詰まることがない」
「最も成功したリーダーは仕事とそれ以外をはっきり分けているふりをせず、曖昧さを認めて仕事と生活の統合を受け入れていた」
リーダーシップ戦略としては良くないという意見もあるが「デザインリーダーの多くは一緒に働く人たちと親しい友人関係を築いている」
「突き詰めると、デザインリーダーとはマーケターおよびセールスパーソンの仕事ができる人だ。 デザインリーダーは戦略的ソリューションの話ができて、クライアントとの関係を築き、プロジェクトチームへのスムーズな転換をやってのける人である」
「デザインリーダーであることは単にプロダクトをデザインすることではない。その大半は、人と期待を管理することである」




リチャード・ベンフィールド「デザインリーダーシップ」(BNN新社 2018.5.24)
1. 企業文化
2. 人材
3. オフィススペースとリモートワーク
4. 個人的成長とバランスのとれた生活
5. 将来計画
6. リーダーシップスタイル
7. セールスとマーケティング
8. 最大の過ちから学ぶ


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