姫野カオルコ「彼女は頭が悪いから」

なんとも不愉快で後味の悪い小説だった。前提知識なく読み始め、途中から読むことをやめようかと思うほど気分の悪くなる小説だった。2016年5月10日、巣鴨のアパートで東大生5人がひとりの女子大生に対する強制わいせつで逮捕されたという実際の事件を基に作られたフィクションである。当時、慶応大生や芸能人の性犯罪が続いて話題になっていた記憶は微かに…
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映画「アド・アストラ」

人類は孤独な存在だ。知的生命体は人類が到達できる範囲には、いくら探索に出てもまったく見つからない。しかし、宇宙に仲間を求めに行って孤独を知る以前に、人は人間の間でも孤独であってしまうのはどうしてだろう。宇宙に向かって(アド アストラ)行く前に、身近な人との距離を詰め、愛に満ちた暮らしを、この美しい地球の上で行うべきなのだ、そう笑顔のフラ…
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映画「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」

8年生のケイラは一生懸命に生きている。 私も中学生の頃は、(もう随分記憶にないが)、自意識過剰でつまらないことに悩み、苦しんでいたと思う。ケイラは、頭の中では、悩みを打開する方法を考え抜き、他者への助言という形でその考え方を一生懸命語り動画にしてネットにアップしていた。いわく、勇気を持って一歩踏み出す!いわく、新しい自分を見せるためにも…
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望月衣塑子・前川喜平・マーティン・ファクラー「同調圧力」

「同調圧力」は、私が相当気にしていて。もっとも憎むもののひとつだから、期待して読んだが、あまり同調圧力の根幹に触れなかったような気がする。よく考えてみれば、望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラーの3人はもっとも同調圧力に遠い、同調圧力に押しつぶされない人々ではないか、だから、たぶん体でわかっていないから伝わらないのだろう。 …
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澤田瞳子「落花」

あまり知らない音楽の世界で、興味を惹かれるようでもあり、異世界ですぐ忘れてしまうようでもあり・・・天皇の血を継ぐ皇族の一員でありながら、音楽を究めた父親、敦実親王に疎んじられて仁和寺の僧にさせられた寛朝。それなりに楽器は究めたのに認められず、梵唄に生きようとする。一度宴の席で耳にした僧、心慶の梵唄、「落花」に心を奪われ続け、坂東…
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加藤直樹「TRICK トリック 朝鮮人虐殺をなかったことにしたい人たち」

この本は日本人必読の書だ。工藤美代子・加藤康男の「関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった」という本の、朝鮮人虐殺を否定する方法、つまりトリックを明らかにして詳らかに解説する。こういうことは絶対必要だ。自民党都議が小池知事に勧めたように、歴史修正主義者が、この本に書いてあるからと勧めたその場で、否定する本を読めとカウンターできる。 しか…
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藤原彰「餓死した英霊たち」

日中戦争、太平洋戦争の戦死者230万人のうち、140万人は餓死あるいは栄養失調がもとになった戦病死といわれる。戦闘による戦死は半分以下だ。こんな体たらくで、何が英霊だ、何がこれらの人たちのおかげで現在があるだ。まともな国、まともな軍なら、この140万の大半は死なずに済んだろうに その代表的なものは、ポートモレスビー攻略戦、ガダルカ…
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加藤直樹「九月、東京の路上で」

都知事が朝鮮人虐殺の異例の言葉を記念日に語ることをやめただけでなく、いま、朝鮮人暴動は実際にあって、自警団がそれと戦ったと信じる人々が増えているらしい。この本のように、どんなに実際の証言が公開されても、認めたくないことは認めないようだ。そんな人がいま韓国に対しては何言ってもいいんだと、白昼のテレビ番組で韓国たたきをしている。  巻…
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伊藤孝司「無窮花ムグンファの哀しみ」

映画では、「慰安婦」にされた朝鮮人女性のドキュメントを2,3回観ましたが、書籍では読んだことなかったと思います。今回初めて、彼女たちを取材した伊藤浩司氏のまとめたドキュメンタリーを目にしました。従軍慰安婦は、日本政府も軍の関与を認めていますが、実態は、「関与」どころではなく、拉致・強制連行・詐欺まがいの口利きに始まり、まさに連行・奴隷的…
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山崎雅弘「戦前回帰 「大日本病」の再発」

戦前・戦中の日本を覆っていたものは、国体とよぶ定義し難い概念と、国体明徴を徹底し、それに抗う者たちを排除してゆく、そんな空気だった。もう周知の話ではあるが、筆者が光をあてているのは、国家神道を軸とする非合理的な観念がまともな考え方を押しのけてゆく姿であって、政治権力そのものではない、まさに「大日本病」としか呼びようのない病的な空気であっ…
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原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」

幼い頃我が家は貧しかったので、比較的裕福だった伯母が親代わりに映画などの行楽によく連れて行ってもらった。そのなかで記憶しているひとつが、西洋美術館の松方コレクションである。モネの睡蓮の絵は素晴らしく、その絵が掲載されているカタログ冊子を買ってもらった姉が羨ましかったものだ。おそらく西洋美術館が1959年6月にオープンした直後、多くの…
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