キム・スヒョン「私は私のままで生きることにした」

キム・スヒョンはイラストレーターにして作家。 この本は韓国で60万部を超えるベストセラーになった、読めば読むほど、韓国社会で生きることの過酷さを感じる。こんな文章が端的に表している。  「画一的な社会の姿は、ひとつの答えだけを追い求める  個人の姿に引き継がれた  だから私たちの社会では、体脂肪は17%、  体重は48kgで…
コメント:0

続きを読むread more

映画「ゴールデンスランバー」

誰もが好きなビートルズの曲を私も好きだが、なかでも "Golden Slumbers" から "Carry That Weight" がいちばん好きだ。それもけっこう秘めた恋のように密かなものだ。もし、"White Album"の"Julia"が好きだなんて言うとしたら、それは、ここまで知っているというだけの見栄にすぎないが、"Go…
コメント:0

続きを読むread more

窪美澄「トリニティ」

1960年代に仕事をし始めた女三人、登紀子は恵まれた物書き女三代の豊かな暮らしの家で育ち、母親のつてでライターになったがそれなりの才能で自分の境地を切り開いた。妙子は岡山の田舎で棄てられた子として貧しい養親に育てられたが、迎えにきた母と中学卒業後東京に出て、母と二人の貧しい生活ながらも美大卒業前に飛び込みで売り込んだ先で認められ、イラス…
コメント:0

続きを読むread more

澤田瞳子「日輪の賦」

澤田瞳子氏の二冊目の本は、友人のお薦めの、この本。たいへん面白く、よくできた物語小説だと感心する。前回の「落花」が平将門が活躍する平安後期、今回は大宝律令がつくられた時代だ。ロマンあふるる古代史の物語と言えばひどく陳腐な物言いだが、豪族の集合体から律令を基にした中央集権国家、倭から日本、大王(おおきみ)から天皇という、新たな国づくりに燃…
コメント:0

続きを読むread more

映画「マレフィセント2」

「アイ・アム・サム」のブランコのシーンから、娘のように可愛がり、娘の学芸会には必ず行くように、可能な限り全作品を見続けているエル・ファニングの最新作。「エルちゃん」のために見に来ているので、他の俳優ならあまり見る気がしないジャンルの映画ではある。もう二十歳を過ぎたエルだが、相変わらず愛らしく、オーロラ姫の風格よりも妖精たちの姉さんと言っ…
コメント:0

続きを読むread more

映画「イエスタデイ」

払っても払っても晴れない霧がたちこめ、不安や恐れなどで気がめいり沈んでいた。さすがに気がついたカミさんが「エルちゃんの映画でも見に行ったら」と言うので、そうだ、エルちゃんの「マレフィセント2」を見に行こうと思い立って映画館に来たが、「マレフィセント2」は必ず見るとしても、「イエスタデイ」は結構楽しそうで2時間過ごせるかなと、こちらを選ん…
コメント:0

続きを読むread more

中塚明「近代日本と朝鮮 第三版」

日本と朝鮮半島とのかかわりについて、かなり詳細に記述されている。若干、言葉遣いと視点にイデオロギーの香りを感じるが、内容は史料に基づく出来事の記載が中心だから、記述の信頼性は高いのだろう。ななめ読みでもよいから、この程度の内容は日本人ならみな、高校生程度で学ぶべきだろうと心からそう思う。歴史教育はここまでやらないと、まともな前進はできま…
コメント:0

続きを読むread more

映画「ボーダー 二つの世界」

「ぼくのエリ 200歳の少女」はすばらしく抒情的で美しい映像の素晴らしい映画だった。 同じ原作者の映画ということで期待したが、なかなか複雑な思いだ。基本的に映画には楽しさと美しさをまず求める私には、ちょっと好きになれない映画だ。 しかし、スウェーデンの森の中で起こる、神話のような、民話のような話は、興味深いことは確かだ。 恥じらい…
コメント:0

続きを読むread more

松尾匡(ただす)「反緊縮宣言」は必読本

ギリシャのバルファキス、アメリカのバーニー・サンダースとオカシオ・コルテス、そして日本の山本太郎が訴える経済政策を理論的に支える経済学であり、運動である「反緊縮」を、様々な角度から分かりやすく解説している。率直に言って、なんでもっと早く出版されなかったのか、これほど多くの人が読むべき本なのになぜ図書館の予約がほとんどないのか、そんなやり…
コメント:0

続きを読むread more

日野行介「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」

日野行介氏は原発事故の後のジャーナリストとしての活動が際だっているが、311当時は大阪から来た援軍だったらしい。福島県の県民健康管理調査は、事故後の被曝による健康への影響を測定し、もしあれば極力影響を防ぐ措置が望まれる、たいへん重要な事業だ。原発事故の経験としては、広島・長崎を別にすればチェルノブイリしかないわけで、福島の事故後の状況を…
コメント:0

続きを読むread more

吉川徹「分断社会と若者の今」

社会学という学問は、領域によっては、どうも好きになれないところがある。学問としては、論の証明や根拠が必要であって、社会意識については、アンケートのような方法がよくつかわれる。その数字をもとに多変量解析などで分析される。しかし、いわゆる社会調査などの質問や回答の選択肢には、どうしても曖昧さが免れず、曖昧な結果を集めて解析しても誤差が大きい…
コメント:0

続きを読むread more

尹東柱ユンドンジュ「空と風と星と詩」

映画「空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~」や、NHKの「こころの時代」で、尹東柱を知った。詩は中学高校の頃にはよく読み、時には手慰みに書くこともあった。しかし、いまでは詩はまったく別の世界のものだ。それでも、尹東柱の詩は、どこか心に残る。それは、その澄み切った抒情性、素直さ、そして、隠れた強さと言ったものだ。 金時鐘氏は、こんな解説…
コメント:0

続きを読むread more

水野直樹・藤永壮・駒込武編「日本の植民地支配 肯定・賛美論を検証する」

日本の植民地支配を肯定・賛美する「論」に対して、それぞれの専門家が検証・反論している。日本会議に属する人々とは限らないが、肯定・賛美論者の論は、結構大雑把で、トリックに見える。それに対するカウンターは、岩波ブックレットらしく上品で、あまり強いカウンターになっていないように感じる。もっと、徹底して叩きつぶしてほしいのだが、ページ数の制約も…
コメント:0

続きを読むread more

山崎雅弘「歴史戦と思想戦」

産経新聞などが展開した「歴史戦」を読み解き、それに対する反論を丁寧に展開している。 筆者は、「歴史戦」が「先の戦争中に日本政府が国家として展開した「思想戦」や「宣伝戦」の継続なのではないか」と洞察している。 ケント・ギルバート氏や黄文雄氏などの「歴史戦」の論客たちの論、というよりはむしろ「トリック」は、筆者の分析で、たわいないものと分か…
コメント:0

続きを読むread more

映画「ホテル・ムンバイ」

テロ事件の圧倒的な緊迫感で二時間余をあっという間に観終わってしまった。2008年、ムンバイの五つ星ホテル、タージマハル・パレス・ホテルがパキスタンから来たイスラム教徒のテロリストの少年たちによって占拠され、従業員も宿泊客が多数殺された実話に基づいているから、結末もかなり厳しい。 靴を忘れてクビになりかかったアルジュン(デヴ・パテル…
コメント:0

続きを読むread more

平野久美子「牡丹社事件 マブイの行方」

「日本でも台湾でも「牡丹社事件」と呼んでいる一連の事件は、1871年に起きた琉球民遭難殺害事件と、陸軍中将の西郷従道が大軍を率いて1874年に台湾へ出兵した「征台の役」をさす」。日本ではほとんど忘れ去られた事件だが、台湾でも日本でも関係者の末裔は、現在でも細々と真相を探るために調べ、和解を模索している。 沖縄の地に深く傾倒していた筆者が…
コメント:0

続きを読むread more

安田未知子「13歳の少女が見た沖縄戦」

13歳の少女に対して、一高女の校長先生は、ゴムの地下足袋を渡しながら、「これは天皇陛下からいただいたものです。一緒に死ねる人だけにあげます」と言い、牛島中将と校長先生の間の伝令役を指示した。標準語を使えるからだろう。そして、上級生には、「国を護るために学校に留まれ、今逃げていく者は国賊だ」と訓話し、玉砕の歌を歌わせました。その上、疎開し…
コメント:0

続きを読むread more

映画「プライベート・ウォー」

2012年シリアのホムスで、アサド派の攻撃で女子供が無差別に殺されていると現場からCNNで非難していたアメリカ人ジャーナリスト、メリー・キャサリン・コルヴィンは同僚のカメラマンとともにアサド派と見られる砲撃で死亡した。その伝説の女性記者メリー・コルヴィンを赤裸々に描いた。 メリー・コルヴィンは、英国「サンデイ・タイムス」に所属する…
コメント:0

続きを読むread more