映画「ジョーカー」

恥ずかしながら、途中までバットマンのジョーカーの物語だと気付かなかった。ゴッサムの街の名やあまりに汚い町の様相に首を傾げはじめ。トーマス・ウェインの息子、ブルースが出てきて、なんだ、あのジョーカーかと分かったとたん、緊張感が一気に溶けて、アメコミ映画の軽い気分が少し湧いてきた。それほどにシリアス・ドラマのような緊迫感があって、アメコミにここまでマジな雰囲気を持ったドラマなんて初めてだった。ホアキン・フェニックスのせいもあると思う。この人はいつもシリアスだから。

街なかで突然笑い出すアーサー(ホアキン・フェニックス)は、不審に見る人にカードを差し出す。 突然笑い出しても病気なので不快にならないようにとか。心に病気を持ち、不気味なアーサーはコメディアンになりたいが働き場所がない。今日もピエロのかっこうをして、店の呼び込みの仕事に携わる。町のチンピラ少年がからかってプラカードを奪い、アーサーに暴力を振っても、雇主は、なんでプラカードを返さない、なんで居なかったと責めて弁済しろと迫る。不条理な世界。ピエロのかっこうをしたまま帰宅途中の地下鉄でウエイングループの証券マン三人にからまれて、 三人とも射殺してしまう。気分は良かった。

母親の面倒を見ながら苦しい生活を送るアーサーの行為、ウエイングループの社員を殺した行為は、貧しく機会もない虐げられた人々にとって、英雄的行為だった。ピエロの仮面が、反権力の象徴になって行く ・・・  

ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーのジョーカーに比べれば、かなり悲惨で、リアルで、そして不気味、そして、きわめて社会的存在なジョーカーだが、それはホアキン・フェニックスにピッタリだ。気味の悪いジョーカーに乗り移った霊のように密演している。ふと思ったのだが、バットマンはどんな大根役者でもできるが、ジョーカーは、名優でなければできないのかもしれない。

ところで、ホアキン・フェニックスだが、主演男優賞のオスカーを狙えるのではないか。「ジョーカー」、「ビューティフル・デイ」や「インヒアレント・ヴァイス」と続くが、渋いアウトロ―役がピッタリだとおもう。夭折したお兄さんも喜んでいるに違いない。素敵なパートナーのルーニー・マーラも。




映画「ジョーカー」(トッド・フィリップス監督 JOKER 2019 )


オフィシャル・サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/



この記事へのコメント