マレーナ&ベアタ・エルンマン他「グレタ たったひとりのストライキ」

最近よく目にするグレタ・トゥーンベリさんだが、その主張を読んだことはなかった。巻末に「グレタの主張」として各地でおこなったスピーチが掲載されている。読んで思った。アル・ゴアの映画などを見て分かっている気になっていたが、まったくわかっていなかった。そして、読後の印象を端的に言えば、この子はすごい、この子の言葉にはまったく反論できない、この子の言うとおりだ・・・・というものだ。


「IPCCの報告書によると、人類は約11年後に、制御できない不可逆的な連鎖反応を起こす状態に達するそうです。それを避けるためには、2030年までに、二酸化炭素排出量を少なくとも50パーセント削減するなど、社会のあらゆる面でこれまでにない変化を、この10年以内に起こす必要かあります」という彼女のメッセージは初めて聞くもので、しかも衝撃的だ。しかもこの説の計算には永久凍土下のメタンガスの影響は含まれていないのに、まだ発明されていないCO2除去システムの効果は先取りされているという。しかも、その計算はIPCCと各国の科学者が支持しているという。訊いたこともなかった。2030年にはまだ30歳前のグレタには、自分たちには将来が奪われているとパニックになるのは当然だ。そして大人たちヨ、危機にはパニックになれと叫ぶのは当然だろう。

こんな連想もした。グレタさんは16歳の子供なのに、目標志向の厳しい経営者のような側面がある。設定された目標を達成するためにすべてをなげうって現在のシステムを変えないといけないと。やらない言い訳なんか聴きたくないと。現にう言う、「政治的に可能なことではなく、すべきことに集中するまでは、希望は訪れません」


気候問題をあまり知らない人には必読のお薦め本



グレタさんの生い立ちについて、こんな経緯があります。

・ 「私は8歳ごろ、初めて気候変動や地球温暖化のことを聞きました。(中略) 不思議だな、と思いました。(中略) もし化石燃料を燃やすことが私たちの存在をおびやかすほど悪いことなら、なぜ相変わらずそれをしつづけているのでしょう」・・・つまり気候については年季が入ったいる
・ 「11歳のときに病気になりました。うつになったのです。私は話すのをやめました。食べるのをやめました。2か月で体重が10キロも減りました。その後、自閉症、強迫性障がい、そして選択性緘黙症と診断されました」・・・うつが機構問題のせいかどうかは定
・ 「グレタは本当は電車で移動したかった」・・・「だが、摂食障害と強迫性障害のせいで、鉄道旅行は不可能だった」・・・飛行機も車もやめる、そういう危機なんだと。
・ 「この4年間、彼女が自分ひとりでどこかへ行くことはなかった」。しかし、2018年8月20日、国会議事堂前にひとりで座り込んだ。 
・ 「これまで本当に嫌な体験をしたので、子どもたちの相手をするのが難しいことがあるのだと。「意地悪じゃない子どもの集団にあったことがない」」、やっぱりいじめられたんだね
・ 「私は多くの点で、私たち自閉症児のほうがノーマルで、その他の人たちのほうがかなり変だと思っています」・・・そうかもしれないね
・ 「障がいのことで私をからかう人もいます。でも、アスペルガーは病気ではありません。一種のさずかりものです」アスペルガーだから今の行動ができていると。「もし私が「ふつう」で社交性があれば、どこかの組織に入るか、自分で団体を作っていたでしょう」・・・たったひとりのストライキなんかしないね。



気候問題について、アト・ランダムに挙げておく。家族四人が筆者とされているので、ここの文章を誰が書いたのか、やや戸惑う箇所も少なくない。多くは、母親のマリーナさんだと思われる・・・・・。
・ 1988年6月23日、既に、ジェイムズ・ハンセンが温暖化は二酸化炭素や他の人工ガスの蓄積によって引き起こされていると証言していた
・ 「2017年夏、気候問題に関する6人の先駆的な研究者と政策立案者たちが、科学誌ネイチャーに寄稿した。彼らは「人類は3年以内に排出量カーブ急降下させねばならない」と主張した。この気候を守るにはあと3年しかなく、このままではパリ条約の2度目標を達成できないし、人間には制御できない気候破壊の負のスパイラルがはじまってしまうだろうと」・・・ほとんど映画のようなカタストロフィだが。
・ 「本当は、2025年までにほぼ全部の工場を閉鎖し、全ての自動車と飛行機を地上に停めてゆっくりと腐蝕させ、そのあいだ人類は備蓄食糧を食べるくらいの覚悟が全世界の人々に必要なレベルにきているとも」・・・ここまでの危機感がある、しかし私含めて無智な人は想像だにしていない。
・ 「2017年、900万人が環境破壊が原因で亡くなった。2万人の科学者と研究者が「私たちは確実に気候と持続可能性の破滅に向かっており、もう時間はない」と人類に鋭い警告を発した。ドイツの研究者たちは、昆虫の75~80パーセントが絶滅したことを確認した」
・ 「リサイクルのためにゴミの分別を20年続けても、1回飛行機に乗るだけでその努力がふいになる」。だからグレタの家族はもう飛行機に乗らない
・ 「もっとも重要なことは、排出量削減モデルが、二酸化炭素除去技術(negative emmission)、つまり、まだ開発されていない技術に過剰に依拠しているということです」
・ 「気候学者ケヴィン・アンダーソンは、世界でもっとも裕福な10パーセントがその排出レベルを欧州連合の平均値にまで下げれば、世界中のガス排出量は30パーセント削減できると言っている」・・・ここにも格差の問題が。
・ 「「私たちには新たな非化石燃料が膨大に必要。それも、いますぐ」と、グレタは言った。 「いちばん安くて早いベストの代替手段に投資する必要がある。それなのに、どうして建設に10年もかかるものに投資しなくちゃいけないの? 太陽光や風力を利用した発電所なら数か月で完成するのに」・・・簡単な理屈で原発が選択肢出ないことを主張。



大人たちに・・・
・ 大人は何もしないくせに子どもたちに「世界を救うのはあなたたちですって、ちょっとくらい、大人たちが何とかしようと思ったっていいんじゃない?」
・ 政治家はもちろん、親戚からも嫌悪と嘲笑を浴びた。グレタの行動が理解できないのだ。・・・「気候危機について少しでも理解している人なんて、実際、ほとんどいません」とグレタ。
・ 「グレタは屈しない」・・・「たとえばグレタには、多くの人が無意識に持っている、弱さへの軽蔑がない。グレタの存在は、強いものがいつでも勝つという競争社会の不文律と矛盾する」だから。ものおじすることがない
・ 「「気候変動は人類の存亡に関わる脅威で、もっとも重要な課題だ」と言いながら、これまでと同じ生活を続けているのです。 私に理解できません」
・ 「ストライキなんかやめて学校にいなさいと、私に言う人がいます。勉強して気候学者になれば「気候危機を解決できる」という人もいます」・・・「私たちに必要なのは、目を覚まして変化を起こすことです。それに、もうすぐ未来がなくなるなら、なぜ勉強しなくてはならないのでしょう?」
・ 「あなたたちは耳を貸してくれません。この答えは、あなたたちの大半がほとんど理解していない危機を解決するためのものだから。あるいは理解したくないのかもしれません。あなたたちが科学に耳を傾けないのは、これまでの暮らし方を続けられる解決策しか興味がないからです」
・ 「自分たちの生き残りを脅かす存続の危機に瀕しているのに、最優先すべき問題ではないなんて、絶対にありえない」・・・だから危機感の差だね。危機を語る者には耳を塞いでいる
・ 「私たちは、事態をコントロールできていないこと、全ての問題に対する解決策があるわけでもないことを認識すべきです。この闘いに敗けつつあることを認めなければいけません」




マレーナ&ベアタ・エルンマン他「グレタ たったひとりのストライキ」(海と月社2019.10.7)
Ⅰ 家族の話
Ⅱ 本当の地球の姿
Ⅲ 真実を知って未来をひらく
Ⅳ やることすべてに意味がある
グレタの主張



この記事へのコメント