映画「マリッジ・ストーリー」

皮肉な警句作家なら、結婚とは、愛し合っているかどうかに関わらず傷つけ合いと罵倒し合いをゴールとする制度である、というかもしれない。そして、離婚とは、夫も妻も敗者となり、弁護士だけが勝者となる闘い、というかもしれない。もっとも、アメリカ社会では、という前提がつくかもしれない。

私の大好きな名作である「フランシス・ハ」の監督であるノア・バームバック監督の新作。 本年度ベストテンには確実に残りそうな、久しぶりに見る、濃密で、シリアスなドラマだ。

愛し合っているはずの夫婦が、ふと振り返ってみると、結婚生活に潜む夫と妻の思いの微かなすれ違いが裂けめになってゆく。夫から見れば、なぜ妻が突然離婚を言い出したのか理解できない。何も問題なかったじゃないか。家事もする、料理は夫のほうが上手だ。子どもの相手も、子煩悩と言われるくらいする。舞台監督という仕事も順調に評価され次はブロードウェイだ、生活も楽ではないが別に苦しいこともない・・・・
しかし、妻から見れば、妻が自分の人生を問い直せば、別れるほうがいい・・・・

子どもの養育権が絡むと、そこに、社会の男を見る目と女を見る目が加わって来る。世間はずっと男に甘く、女に厳しい・・・・。男が酒を飲んでも難とも言われないが、女が酒をちょっと飲んで、冗談でこどもに「バカ!」とでも言おうものなら、もう女に養育権を渡さないのが世間だと。

妻のスカーレット・ヨハンソンは、好きな女優の一人だが、アベンジャーズはあまりいいと思わない。どんな役でもこなしてしまうから便利なのかもしれないが、できれば、ラブコメ系で頑張ってほしい。 夫のアダム・ドライヴァーは、「ブラック・クランズマン」や「パターソン」が好きで、「スターウォーズ」はあまり好きじゃない。 このふたりの、このような映画での共演は、だから、とてもいい。

キャスティングで特筆すべきは、アジー・ロバートソン。 この可愛らしい少年について、その生まれも年齢も、残念ながらわからないが、久しぶりの男の子の注目子役だ。






映画「マリッジ・ストーリー」(ノア・バームバック監督 MARRIAGE STORY 2019 )



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