丸山俊一他「マルクス・ガブリエル欲望の時代を哲学する」

マルクス・ガブリエル氏が訪日した時のNHKのドキュメンタリーも視聴したが、強い印象はなかった。 そして、この本である。印象どころか、よく理解できなかった。 哲学界の「ロックスター」とか、「天才児」とか称されるらしいマルクス・ガブリエル氏だが、それもこの本からはうかがわれない。私は哲学書をよく手にするが、たいていの本は最後まで読み続け…
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大田昌秀「日本の沖縄意識 醜い日本人」

この本の出版年は1995年だが、太田氏が著述したのはほとんど沖縄返還前だ。沖縄には、「人に傷めつけられても寝ることができるが、人を傷めつけては眠られぬ」、という意味のことわざがあるらしい。沖縄は、日本本土からは30年も遅れているといわれ、封建制の残滓が濃く残っている、たいへん保守的な風土で、前近代的な共同社会だという。 そういう沖縄が、…
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映画「沈黙、愛」

金で何でも解決できると考えているらしいイム・テサン(チェ・ミンシク)は、有名歌手のユナ(イ・ハニ )を愛していて婚約している。しかし、娘のミラ( イ・スギョン)は、どうしてももユナを認めない。ユナの本性を見抜いているからだ。 しかしミラも不良同然の乱れた生活を送っていて、ユナと口げんかが耐えない。 ある日ミラがユナを呼び出した駐車…
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朴炳植「ヤマト言葉の起源と古代朝鮮語」

「ヤマト言葉」とは、漢字など外国語が含まれない日本固有の言葉、というのが一般的な理解だが、筆者はこういう。「私は「ヤマト言葉」とは「弥生時代に生成された日本語である」と定義する」。それは漢字から来た言葉が多数あるからだという。 ヤマト言葉の起源に関する説は、四通りの説がある。 1. 朝鮮語が語源 2. 蒙古語が語源 3.…
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山尾悠子「掌篇小説集 歪み真珠」

山尾悠子氏は初めての体験となる。なんとも不思議な作品だ。 掌篇小説集というのは、どうも短編より短い小説という意味らしい。 なかで、一作、「ドロテアの首と銀の皿」だけがちょっと長く短編で理解しやすい。 あとは、ほんの数ページの作品ばかりだ。 星新一のショートショートは読みやすく起承転結やウイットに富んでいるが、山尾氏の掌篇は密度濃く、しか…
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河西秀哉「天皇制と民主主義の昭和史」

敗戦直前から昭和の終わり近くまでの、天皇制を守ってきた人々、天皇自身の行動などを、かなり多くの史料で解明してゆく力作だと思う。ひとことでまとめれば、敗戦によってその存続が危ぶまれた天皇制は、GHQの占領政策によって維持が決定されたが、裕仁天皇自身の退位が天皇制廃止につながることを恐れた関係者によって、あらゆる工作や宣伝行動がなされた。果…
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鳩山友紀夫「脱 大日本主義」

この本は鳩山氏を嫌う人に特にお薦めの本だ。きっと評価が変わる。「宇宙人」とマスコミに揶揄されていた鳩山氏だが、民主党政権以前から私は世評よりまともな人だと思っていた。少なくとも、小泉純一郎氏や安倍晋三氏よりは、知性も理性も遥かに優れているし、頭脳明晰だとおもう。ただ、根がお坊ちゃんなだけに善人過ぎて、他の政治家や官僚を警戒しつつコントロ…
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映画「アローン」

カリテ・ファンタスティック!シネマコレクションは、いつも興味を惹かれるが、見に行ったことはない。時間もお金も限られていると、どうしてもよりリスクの少ない一般公開の映画を選んでしまうからだが、このコレクションには、結構いい映画がある。それを一年もたってWowowで知るのだ。この「アローン」も、なかなか面白い、よくできた映画だ。ただ、終わり…
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アルボムッレ・スマナサーラ「自分を変える気づきの瞑想法」

落ち着いた静かな心、集中力のある心、仏教の言葉でサマーディ(禅定)をつくる瞑想法、「サマタ瞑想」でサマーディ状態を整えたうえで「ヴィパッサナー瞑想」に入ります。「「ヴィパッサナー」とは「明確に見る」という意味で、今自分に起こっていることをありのままに観察する瞑想法です」。   「ヴィパッサナー瞑想」のなかで代表的な、慈しみの瞑想、…
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映画「エルネスト ~もう一人のゲバラ~」

日本→ペルー→ボリビアという経路で、日系ボリビア人として育った、フレディ前村ウルタード(オダギリジョー)は、ボリビアの医療の貧しさを何とか変えたいと、キューバの医学生として留学することができた。 入学したとたんにキューバ危機となり、医学生は米爆撃機の警戒に駆り出される。エルネスト・チェ・ゲバラやフィデル・カストロと対話する機会もあって、…
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映画「クレイジー・リッチ!」

ケヴィン・クワン原作の「クレイジー・リッチ・アジアンズ」の映画化。 原題タイトルにあるように、主要キャストはみなアジア人、正確に言えば、みな中国系俳優だ。 シンガポールにそんなクレイジーにリッチな中国人がいるのかどうか知らぬが、いてもふしぎはないね。 ニューヨークで暮らす、大学教授のレイチェル・チュウ(コンスタンス・ウー)は、恋人…
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映画「ライオンは今夜死ぬ」

歳は取りたくないもの、というのが、この映画の最初の印象た。死ぬ演技に納得がいかない老俳優が愛していた死者との邂逅や子どもたちとの映画作りで死を受け容れていき、死の演技も無理なくできるようになる、そんな物語。  歳は取りたくないというのは、物語の内容よりもむしろ、ジャン=ピエール・レオの年老いた姿が、ちょっとつらいからだ。 ヌーベル…
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映画「ガラスの城の約束」

ブリー・ラーソンを初めて知ったのは「ショート・ターム」だった。 予想もしなかった思わぬいい映画といい俳優を知ってうれしかったものだ。 そのブリー・ラーソンは、その後「ルーム」でなんとアカデミー主演女優賞を獲得してしまい、最近ではマーベル作品に出演するモテモテぶりだ。 「ショート・ターム」のコンビで再び作ったこの作品のような、きらりと光る…
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岡谷公二「沖縄の聖地 御嶽(うたき)」

岡谷氏の著作は、「神社の起源と古代朝鮮」、「伊勢と出雲 韓神と鉄」に次いで三作目にあたります。 一貫して伊勢・出雲ばかりでなく、神社の起源と、半島との関係を究めている。 今回は、沖縄ユニークな神社である御嶽(うたき)を訪ね歩き、半島との関係を探って行く。  「御嶽とは、沖縄の最北部、本島の国頭村から、南端の八重山群島波照間島まで、…
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映画「アマンダと僕」

高校で英語を教えている母サンドリーヌと二人暮らしの小学生アマンダは、ときどき、叔父さんのダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)が学校に迎えに来るが、明るい母親と楽しく暮らしていた。 それが突然、テロに巻き込まれて、死んでしまう。 残されたアマンダを自分が面倒見ないといけない、しかし、そんな心の用意はなかったし、できるんだろうか ・・・・。 …
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多和田葉子「地球にちりばめられて」

記憶の範囲では、多和田葉子氏の初めての体験だ。 多言語、多人種、多様性あふれる世界に生きる、結構な大人たちの物語。 ところは、デンマークをベースとしているデンマーク人、日本人とグリーンランド・エスキモー人が、ドイツに行き、インド人とドイツ人に出会い、みんなしてノルウェーに行き、またフランスに行く。 ただ、ひとりの多様な言語に強い日本人女…
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マシュー・サイド「失敗の科学」

要約すれば、航空業界のように失敗を認め受け止めて、追究した原因を広く公開、対策を業界で共有し仕組みとして徹底する、それが失敗から学習する組織の例であって、対極にあるのが病院など医療業界や、検察・警察裁判所などの司法の世界だ。失敗から学習できない理由は、いろいろと研究されている。しかし、私には、マネジメントの理解と決断一つだと思うが。 …
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映画「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

「スーサイド・スクワット」のハーレイ・クインのいかれ度があまりに魅力的なので、マーゴット・ロビーと言えば、「スーサイド・スクワット」が思い起こされる。 しかし、それも、この映画までで、これからは「アイ、トーニャ」がマーゴット・ロビーの代表作になるにちがいない。 それほどに、ぴったりと、はまり役だった。  トーニャ・ハーディングは、…
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山下良道「「マインドフルネスX禅」であなたの雑念はすっきり消える」

マインドフルネスと禅との相違、その瞑想の仕方など、時宜にかなった、私もたいへん知りたい内容を、ただ解説するのではなく、筆者が、悩み、学び、考えた、その跡を辿るかのような内容を、一歩一歩、そして、繰り返し語ってくれるので、論点がわかりやすく、理解もしやすい。  しかし、だからといって、その結論に納得できるわけではない。  私も、禅や…
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森健「「つなみ」の子どもたち 作文に書かれなかった物語」

2011年6月に最初の作文集「つなみ 被災地のこども80人の作文集」が発刊された。 まだ記憶も新しい、しかし、書くことができるほどには落ち着いた4,5月に、子どもたち自身の意志で作文を書くことを選択した。 そんな子どもたちの作文は大きな反響を与えたという。 同時に、子どもたちにも、ひとつの自信になったようだ。  あの日から何回か…
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ハン・ガン「少年が来る」

もっと早くに読めばよかった。今年読んだ本の中でベストワンのひとつかな・・・・ 「少年が来る」の「少年」とは、光州民主化運動のなか、全羅南道の道庁に最後まで残った学生・市民の中にいた中学生トンホと、戒厳軍の銃弾を受けて死んだトンホの友達チョンデをはじめ、あの場にいた少年たち示している。あの場にいた、何人かの視点を通して、あの日と、そ…
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石原昌家「虐殺の島-皇軍と臣民の末路」

1970年代、日本に復帰、戦後30年経ち、ようやく共同体のしがらみから抜けでた人々が証言して、沖縄戦における住民の「虐殺」の実態が少し明らかになっていった時代なのだろう。この本は、沖縄戦全体の「虐殺」の調査などではなく、ごく一部の地域、アブチラガマ、ウタキ、知念、伊是名島、西表島 ・・・における、証言をあつめ、分析してまとめたものだ。 …
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巣内尚子「奴隷労働 ベトナム人技能実習生の実態」

ベトナムから日本への移住労働は約30万人弱にも上る。 そのなかで日本の進んだ技術を修得することに憧れ、かつ日本で高収入を稼ぐために、技能実習生制度を使って、来日するベトナム人も年々増大している。 彼らはベトナムの仲介会社に、100万円前後の多大な手数料や保証金を払っている。 ベトナムの平均的給料は2万円程度だから、ほとんどの実習生は借金…
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マルボムッレ・スマナサーラ「知恵の扉 こころを整えるブッダの教え」

ブッダの教えを簡潔に伝える。 簡潔だから、つまり、わかりにくい。 ブッダの教えはたいへんシンプルだから、たくさんの言葉を必要としないかわりに、分かった気になっても実行がむずかしい。  ブッダの教えは嘘ばかりの宗教ではなく、生きるに必要なほんとうの力を授けるもの。 物事を理解し、明るく生きる力。 人生は辛いもの、苦しく難しいもの。 …
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NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない」

2009年(平成21年)10月に放送された「クローズアップ現代」の番組作りの取材と放送後の反響をまとめたもの。きっかけは同年4月北九州市の自宅で発見された39歳男性の遺体だった。死因は餓死、そばには、「助けて」と記載されたが投函されなかった親戚あての手紙があった。亡くなった北原氏は、親族にも友人にも苦境を一切語らなかったことがわかった。…
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BS258 DLifeで韓国ドラマ「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」放送

BS258 DLifeで、韓国ドラマ「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」が放送される。 BSでの放送は、私の知るかぎり2回目だが、もっと放送されているかもしれない。 「トッケビ」は、高麗の常勝将軍が、若く無知で愚かな王が邪悪な内官に唆され、民衆に愛されることを嫉んで、将軍を殺してしまう。 将軍は、敵とはいえ多くの人の命を奪った罪と…
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映画「ゴッホ 最期の手紙」

映画には、ストーリーと映像と音がある。 この映画の映像の美しさは文句なく一流の仕上がりだ。 ゴッホが描いたような手作りの絵が動く、そんな映像が、見たこともない不思議な味わいを感じさせてくれる。 俳優が演じた実写映像をもとに、画家が手書きしたアニメーションだ。  アルル、オヴェールに滞在していたフィンセントからパリの弟テオにあてた手…
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湯浅誠「「なんとかする」子どもの貧困」

湯浅氏のヤフーニュース個人版に掲載された記事をまとめたもの。 湯浅氏は派遣村の頃から、貧困に向けた実践的な取り組みで、日本にも「貧困」が存在することを一般に広く認知させた。 この本でも、たいへん落ち着いた主張で、評論ではなく、とにかく1mmでも動かすことに力を入れている。 湯浅氏が貧困問題に焦点を当てた頃、「貧困などない。単に怠惰…
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映画「人生はシネマティック!」

空襲下のロンドン、カトリン(ジェマ・アータートン)は、秘書の仕事を求めて情報局にゆくと、自分の描いた漫画が具体的な生活を描いていると、顧問の脚本家バックリー(サム・クラフリン)の勧めで国策映画の脚本づくりの手伝いをすることになった。 ドイツとの戦争が激しく、国民の士気を高める映画でないと予算が下りないのだ。 ストリンとバックリーはダンケ…
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映画「誰もがそれを知っている」

アレハンドロ( リカルド・ダリン)が、ため息をつくように口に出す、「みんな知っている」と。  秘密を知っている者が犯人だ。 誰も知らないはずの秘密をみんな知っていた? そういう、マイルドなサスペンスだ。 アルゼンチンに住むラウラ(ペネロペ・クルス)は、イレーネと弟の二人の子どもを連れてスペインの実家に戻って来た。 妹の結婚式にでる…
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